世界の公務員ワイロ事情:現金からコネ採用、セックスまで…
何が賄賂で、何が賄賂でないか、各国の違い- この10年、世界で公務員の贈賄を規制が整備。贈賄も現金以外もさまざま
- 米国は1回20㌦以内の食事、韓国は10万ウォン以下の肉・魚は「合法」扱い
- 日本では数多くある、官僚子女の民間企業へのコネ採用が違法となる国もある。
カジノ誘致をめぐり、秋元司衆院議員が中国企業から賄賂をもらったとされる事件の公判が現在進んでいます。「現金のほか、講演料、旅行代などを受け取った」との検察の主張に対して、「議員の旅行代は事務所が負担したという認識だ」などと否定しています。
賄賂には、現金のほかにいろいろなものがあります。飲食接待、旅行やゴルフ招待、子女の採用、医療、講演料、監修料、選挙応援、寄付、冠婚葬祭名目の寄付、セックス…。一部は社交儀礼的なものであったり、賄賂性のない心づけやチップであったり、賄賂かそうでないかの線引きには曖昧なところもあります。

国によって賄賂の慣習も違う
そこで多くの国では、この10年で贈賄法制を整備しました。何が賄賂で何が賄賂でないかを細かく決めるようになったのです。ここでは、公務員に対する賄賂とはどう規定されているかを見てみましょう。
日本なら国家公務員倫理法や規定によって、会議で全員に配る弁当以外の酒食接待はダメ、中元歳暮や祝儀、香典、ゴルフもダメとされています。また公務員に原稿や講演を依頼して払う監修料や講演料の受領は、公務員による職場への報告が義務づけられ、まとめて公開されることになりました。
10年ほど前までは「監修料」名目で、企業から許認可官庁の役人に、多額の現金が渡っている実態があったのですが、これが問題となって国家公務員倫理法が改正強化されたという経緯があります。

米国は15㌦ランチは許容範囲
アメリカでは連邦公務員行動規定においてはシンプルに接待上限が決められています。1人の公務員が、誰かから1回20ドル、年間を通して50ドルを超える飲食や贈答を受けてはなりません。逆に、ランチ1回15ドルを奢られるのはよい、とされるのです。
ただし、外国での接待は例外です。以前はアメリカの公務員が外国出張で受けるもてなしには制限がなく無尽蔵だったのですが、今は年々厳しくなってきています。海外出張中でも国内同様の、20ドル・50ドルルールが適用されることになりました。しかも、省庁によってはさらに厳しい内規を設け、少額であっても利害関係者から飲食や送迎の提供を受けてはならないとしています。
そのため、日本の製薬工場にアメリカの厚生労働省にあたる役所がアメリカでの販売認可のための査察で訪れる場合に、社員食堂のランチさえも無償提供することができなくなったのです。
中国では、不正競争防止法などで「ビジネス活動において、公平競争原則に違反し、金品他の利益を授受することにより、ビジネスチャンスを提供・取得すること」が禁止されています。一方で、「政府幹部に食事をふるまう」ことは賄賂と異なり、正常なつきあいの中で行われる贈与である、贈与と賄賂は違うと容認されています。
多くのイスラム諸国でも、飲食接待はよほどのことがない限り容認されています。それどころか無尽蔵に認められている国もあります。
韓国では肉、魚の贈答はOK

韓国はかつて接待文化が盛んでしたが、2016年に接待防止法を制定、公職者に対し、1人一回3万ウォン(3000円程度)を超える食事、5万ウォン(5000円程度)を超える中元・歳暮・慶弔を含む贈答を禁止しました。合わせて、学校(私立含む)とマスコミ関係者への接待贈与も禁止しました。すると、牛肉や魚の売り上げが減ったため、翌年農畜産物に限り10万ウォンまでなら送ってよいと修正しました。
タイやベトナムなど、アジアの多くの国では、数年前まで役所の窓口で、一回数ドルから100ドル程度までの心づけは違法ではなく、違法であっても実際にやりとりされていました。グリースペイメント、ファシリテーションペイメントなどと呼ばれていました。
しかし、各国とも腐敗防止法を制定して、公務員は法定費用以外に一切金を受け取ってはならないと禁じたのです。例外として、多くのアジアの国では冠婚葬祭やお祭りの際に、香典や祝儀のやりとりをする慣習があり、仕事でつきあいのある公務員には送ってもよいとされています。
日本で多いコネ採用が違法の国も

また、多くの国では、公務員の親族の業者への採用も禁じています。日本では、官僚の子女が監督官庁の関連団体や発注先にコネ採用されている実態がありますが、これも厳密にいえば、外国では違法とされる場合もあるでしょう。
禁止されれば、抜け穴を探す者がいます。賄賂の中にはセックスなどもあります。腐敗と闘う国際NGO、トランスペアレンシー・インターナショナルでは、さまざまな形の賄賂を調査していますが、その中にはセックスも含まれてきています。
細かい規定はありますが、賄賂であるかないかの本質は、賄賂を差し出す側にとっては、不正な金品サービスを提供することによって、不正な利益を得ようとしているかどうか、もらう側にとってみれば、自己に与えられた公的な権限を用いて、私的な利益を得るかということにあるのです。
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