Web3.0のルール作りへ、日本企業の「本流」が続々参画。デジタル空間経済連盟が本格始動
SBI、野村証券、電通など66社参画SBIホールディングスや野村証券、電通など66社が参加する一般社団法人「日本デジタル空間経済連盟」(代表理事:北尾吉孝SBIホールディングス会長兼社長)が16日、「デジタル空間の経済発展に向けた報告書」を公表した。
ITベンチャーに加え、歴史の長い大手企業でも、メタバースやNFTをはじめとする「Web3.0」事業に参入する動きが目立っているが、同連盟はメタバースに限らず、現実とは異なる三次元の空間を「デジタル空間」と定義。業界団体ではなく、政策提言や関係団体の交流を活性化する経済団体と広く位置付けているのが特徴だ。
その顔ぶれも、前述の3社のほかに、三井住友銀行、NTTドコモ、ソフトバンク、野村不動産、住友不動産、イオン、セガサミーなど、各業界の“メインストリーム”とも言えるプレイヤーが名を連ねている。自治体からも、京都府や横浜市が入った。
今年4月に連盟が発足した当時は、Web3.0関連の団体が乱立したことへの懸念もあったが、この半年間に団体間で協調する動きが加速。スタートアップ勢が主体の一般社団法人メタバースジャパン(代表理事:長田新子、馬渕邦美の両氏)とは相互に加盟することで補完関係を築いていく方針だ。
一方で、NFTやメタバースでは黎明期とあって、たとえば、メタバース上で、他人のアバターになりすまして行った取引について、どのような法的責任が生じるのかといった問題について、法整備が確立されていない。ルール未整備の現状のままでは、取引上のリスクに特に敏感な大手企業が参入に躊躇してしまうことにもなる。
「デジタル空間の取引といってもリアルの経済と切り離せる訳ではない」と関係者。市場の健全な発展を早期に促すため、経済団体として、各企業が直面する課題や意見の集約、政策提言や報告書、政治・行政側への渉外活動などを強化していく。
第1弾となる報告書では、知的財産、デジタル金融、プラットフォームの3つのテーマについて論点を整理した。今後ワーキンググループを通じてさらに具体的な提言づくりを進め、新たな課題が生じた場合にも随時提言などに活かしていく。来年2月8日には東京・六本木のアカデミーヒルズで初のイベントとなる「 デジタル スペース カンファレンス2023」を開催、リアルとメタバースを組み合わせ1500人規模でメタバースビジネスに関する討議を行う。
日本のWeb3.0市場を巡っては、ドコモが新会社を設立し、総額で600億円を投資する計画を発表。矢野経済研究所によると、日本のメタバース市場は昨年度が744億円。26年度には1兆円を超えると試算している。
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