アメリカのアジア同盟戦略を分析する 〜 パートナーを5分類・日本への5つの期待

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#10
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学
  • 中国の覇権拡大にどう対抗?アメリカが描くアジア同盟戦略とは
  • 同盟国・パートナーを3つの基準をもとに5グループに分類
  • 日本に期待される5つの役割とは?台湾有事の現実味にあって今後は

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

10回は、米中対立が深まる中、アメリカが描くアジア同盟戦略について取り上げる。

Igor Kutyaev /iStock

アメリカの同盟戦略

アメリカの戦略の中心的な目的は、ライバルやライバル連合が世界の重要な地域を支配し、その覇権によって米国の繁栄、自由、安全が損なわれることを防ぐことである。

アメリカにとって、同盟国やパートナーシップは、自国の戦略的利益に対する最も差し迫った長期的な軍事的課題に対するギャップを埋めるために必要である。

アメリカにとっての長期的な軍事課題

アメリカは現在、中国を「経済力、外交力、軍事力、技術力を結集し、安定的で開かれた国際システムに持続的に挑戦できる唯一の競争相手」として位置付けている。米国は、中国がまずインド太平洋地域において地域覇権を確立し、最終的には世界的な覇権を確立する野心を持っていると分析している。

このような環境下では、中国は、アメリカが同盟国やパートナーと構築している反覇権連合から、多くの国が離脱するよう、またはその連合が単に中国に対抗できないほど弱体化するまで、軍事的優位性を段階的かつ反復的に行使して強制することが見込まれる。

同盟国・パートナーの優先順位付け

アメリカは、自国の戦略的資源の制約を認識しており、すべての国を一律に守れるとも守るべきとも考えていない。

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ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学

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