「ミサイルが飛んで来たらどうなるか」政治家が国民に説明すべき軍事のリアル

【連載】元海将、香田洋二氏「あえて防衛省に告ぐ」#2
ライター・編集者
  • 元海将、香田洋二氏が転換期の防衛政策に直言する第2回
  • ウクライナ侵攻で注目、「自衛隊に継戦能力がない」は本当か
  • 迷走したイージス・アショア騒動。問われるべき政治家の役割とは

防衛費の大幅増額で国防体制が大きく様変わりしようとする中、元海上自衛隊現場トップ(元海将)として、むしろ危機感を強め、近著『防衛省に告ぐ』(中公新書ラクレ)で問題点を直言する香田洋二さん。特集の2回目は、ウクライナ侵攻で注目された自衛隊の「経線能力」の問題、さらにはイージス・アショアの取りやめ騒動で本来問うべきだったことを聞きます。(3回シリーズの2回目)

香田洋二(こうだ・ようじ)元・海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)。1949 年徳島県生まれ。72 年防衛大学校卒業、海上自衛隊入隊。92 年米海軍大学指揮課程修了。統合幕僚会議事務局長、佐世保地方総監、自衛艦隊司令官などを歴任し、2008 年退官。09 年~11 年ハーバード大学アジアセンター上席研究員。著書に『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』『北朝鮮がアメリカと戦争する日』(幻冬舎新書)、最新刊は『防衛省に告ぐ』(中公ラクレ)。

「継戦能力がない」は本当か

――防衛費を増額しても、弾薬庫が作れないから弾も増やせない。そういった実態を受けてか、安倍元総理が「機関銃の弾からミサイル迎撃のための『SM3』に至るまで、十分とは言えない。継戦能力がない」と述べたことで注目が集まりました。

【香田】これは防衛費増額を後押しする発言で、しかも元最高司令官からこうした指摘が出たこともあり、継戦能力についての議論は盛んになりました。それで防衛省も取ってつけたかのように「後方重視」と言うようになったのですが、やはりこれも「弾薬増」「弾薬庫増設」を計画に入れたからそれでいいという話ではありません。

そもそも、退任後とはいえ元最高司令官にあんなことを言わせてしまうこと自体がおかしい。「これまで防衛省は一体、総理にどんな報告を上げていたのか」と疑問を抱かざるを得ません。

本末転倒のイージス・アショア騒動

イージス・アショアの迎撃実験(米国防総省サイト)

――政治と防衛の関係で言えば、イージス・アショアを巡るゴタゴタもひどいものでした。香田さんも新刊の『防衛省に告ぐ』で1章を割いています

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#3に続く

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