「日米一体化」批判は大間違い 防衛力で守るべき価値とは何か

【連載】元海将、香田洋二氏「あえて防衛省に告ぐ」#3(最終回)
ライター・編集者
  • 元海将、香田洋二氏が転換期の防衛政策に直言する最終回
  • 詰めるべき「盾と矛」…日米同盟の役割分担について
  • ウクライナが戦っていることの意味から日本人に問われることとは

防衛費の大幅増額で国防体制が大きく様変わりしようとする中、元海上自衛隊現場トップ(元海将)として、むしろ危機感を強め、近著『防衛省に告ぐ』(中公新書ラクレ)で問題点を直言する香田洋二さん。特集の最終回は、同盟国アメリカと共にどう有事に対処するべきか、そして国を守る上で最前線に立つ自衛隊だけでなく、私たちも含めて問われることとは?(3回シリーズの3回目)

香田洋二(こうだ・ようじ)元・海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)。1949 年徳島県生まれ。72 年防衛大学校卒業、海上自衛隊入隊。92 年米海軍大学指揮課程修了。統合幕僚会議事務局長、佐世保地方総監、自衛艦隊司令官などを歴任し、2008 年退官。09 年~11 年ハーバード大学アジアセンター上席研究員。著書に『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』『北朝鮮がアメリカと戦争する日』(幻冬舎新書)、最新刊は『防衛省に告ぐ』(中公ラクレ)。

もっと詰めるべき「盾と矛」の議論

――弾薬庫をはじめ、演習場などの施設においては日米の共同利用が増える傾向にあります。これを「日米の一体化が加速する」と批判する声もありますが、これについてはどうお考えでしょうか。

【香田】こと軍事面における「日米の一体化」を否定することは、日米安保も否定することと同義である、と考えるほかありません。日本はこの70年あまり、日米安保体制からものすごく大きなメリットを受けてきました。軍事費は少なくて済み、その分の費用を経済発展や社会福祉に当てられたのです。さらに言えば、第2次大戦で大戦争を起こして負けた日本とドイツにとって、アメリカとの関係は西側先進国の一員になるためのパスポートでもあったのです。

こうした現実があるうえで、「日米の一体化は危険だからやめましょう」と言い出した時に、何が起きるのか。

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