スイス国立銀行は株で歴史的損失。ETFを大量保有する日銀はどうする

両行ともに株に大規模投資、世界の中銀で「異端」
人間経済科学研究所 代表パートナー(財務省OB)
  • 日銀の大規模緩和維持の裏でスルーされたETF購入維持への懸念とは
  • 主要国の中銀で日銀と並び株に大規模投資してきたスイス国立銀が大損失
  • 今後債務超過をしても日銀の「破綻」ないが、懸念される大きな問題とは

日銀は1月17日~18日に開催された金融政策決定会合で、金融緩和策の維持を決めた。12月の会合で10年物国債の金利変動幅を0.5%に拡大したのに続き、今回も日銀が何らか実質的な金利引き上げを行うと考えて国債を空売りしていた海外のヘッジファンド勢は、予想が外れて大きな損失を被ったと言われている。

gyro/iStock

スルーされた日銀のETF購入

この日銀の決定について、エコノミストや市場関係者の間では、まだ2%の物価上昇が安定的に見込めない状況では適切な決定だったという声がある一方、国債の金利を無理やり押さえつけているせいで国債市場の歪みが限界に達しているのに日銀は単に時間稼ぎをしようとしているという意見が出されるなど、決定の是非について議論が盛り上がった。

しかしこうした国債をめぐる騒動の一方で、日銀によるETF(株価指数に連動した上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)の購入については、市場もメディアも完全にスルーした。

それはここ半年間日銀がETF等を購入しなかったことや、金融政策決定会合後の日銀の発表文もここのところ判で押したように「ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ベースを上限に、必要に応じて、買い入れを行う」と全く変わらないせいかもしれない。

しかし、国債市場と同様、あるいはそれ以上に日銀のETF等の買い入れは株式市場を歪めているだけでなく、これまでに購入して積みあがった金額が巨額になっていて、日銀にとって株価変動リスクが極めて大きくなっていることに国民やメディアはもっと注意する必要がある。

これに関してつい最近、日銀にとって他人事ではない事件がスイスの中央銀行(「スイス国立銀行」、Swiss National Bank)で起きた。

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人間経済科学研究所 代表パートナー(財務省OB)

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