沖縄最大の無人島、中国人が買収?女性起業家の投稿がバズるも、日本では警戒論

【更新】沖縄県内では懐疑的な見方も浮上

※本記事について文末に続報あり

中国の30代女性起業家が1月末、近年購入したという日本の島を訪れた様子をTikTokに投稿し、中国のネットで話題になっている。実際に買収が成立したのか不明な点もあるが、中国メディアが報じたことで日本にもその情報が伝わり、日本のネットでも注目度は上昇した。

女性が投稿した画像などから、この島が沖縄県最大の無人島、屋那覇島(やなはじま、伊是名村)ではないかとの見方が広がる一方で、中国人による土地買収への警戒論も背景に問題視する意見も出ている。

屋那覇島(国土交通省「国土画像情報(カラー空中写真)」)

中国メディア、紅星新聞は3日、この女性へのインタビューを特報した。親族が不動産や金融を営んでおり、女性自身も飲食店を起業しているという。島は20年12月から21年2月にかけ、親族の会社名義で取得したとしている。女性は島を訪れ、美しい海岸を背にした様子などを投稿。これがネットで「30代女性が小島を買って島のオーナーになる」と話題になった。女性は紅星新聞の取材に対し、「海の美しさを皆さんと共有したかった」と話したという。

女性の話では島の大きさは70万平方メートル。島の全景を空撮した画像も公開しており、これらの情報から日本のネットでは、沖縄本島の北方にある離島の伊是名村に帰属する屋那覇島と目されている。同島は74万平方メートルと県内最大の無人島だ。

島を取得した経緯について、女性は紅星新聞の取材に、競売で出ていた物件が何度もキャンセルされたが、会社側が交渉に乗り出してから買収協議が成立したと説明している。実際、競売情報サイトによると、20年7月と21年3月には那覇地裁名護支部で島の半分程度の規模が競売にかけられ、取り消しや取り下げとなった記録がある。いずれも約1500万円で売りに出されていたが、中国メディアの報道では、女性側が入札を開始した際の価格はおよそ60万元(約1100万円)だったといい、金額にはやや開きがある。

屋那覇島(政府の沖縄文化・観光ポータルサイト)

屋那覇島は以前から釣り場やキャンプ地として利用され、野生のヤギやウサギの生息地としても知られている。5年前には、当時沖縄県内にあった会社が「ディズニーシーと同じ大きさの無人島を開拓する」などと触れ込み、無人島ツアーの観光スポットとしてアピールしていた。

また、実業家の堀江貴文氏が主宰する「堀江貴文イノベーション大学校」のイベントや、人気ロックバンド、ゴールデンボンバーの「無観客ライブ」が企画され、県外でも話題になった。この会社の相談役の男性が過去に島を購入しているが、同社は3年前から営業活動を停止している模様だ。

この週末までネットでの騒ぎになっているが、仮に今後、登記簿などから、女性の主張が事実で、屋那覇島の買収成立が確認された場合は、日本でも注目を集めそうだ。

しかし日本のツイッターでは、保守系のネット民を中心に経済安全保障や地政学的な観点からの懸念が広がりつつある。屋那覇島は、安全保障上、重要な土地の利用を規制する「重要土地等調査法」の対象区域ではないが、中国政府系企業への転売や、米軍基地を擁する沖縄本島を見下ろす位置にあることなどが理由に挙げられている。

【更新:6日深夜】中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)も6日朝「中国女性が70万平方メートルの無人島を買って、日本で論争を引き起こした」との題で、今回の話題を取り上げた。環球時報はその中で、日本側の反応として、本記事を引用する形で「中国人が日本の島を購入することを問題とみなす意見も多い」などと取り上げたが、屋那覇島の事情に詳しい関係者の間では、近年、実際に土地取引された金額との差に大きな開きがあることなどから「女性の話は本当なのか」と懐疑的な見方も浮上している。

 

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