ロッテリア売却の背景、グループ創業者長男が示した「懸念」

「事業ポートフォリオの見直し」強調も...

ロッテホールディングス(HD)が16日、傘下のロッテリアの運営会社の全株式をゼンショーグループに4月1日付で売却することが明らかになり、ネット上でも話題を呼んだ。

winhorse /iStock

ファストフード業界で3位の売り上げ規模を誇るブランドの動向とあって、ツイッターでは「ロッテリア売却」がトレンド入りするなど関心を集めた。

この日、経営権売却の速報が流れると、ブランド名が変更されるかが話題となり、譲渡先が「すき家」の運営で知られていることもあって、「スキヤリア」「ゼンショリア」などと取り沙汰される一幕も。ロッテ側の発表では「『ロッテリア』ブランドは、株式譲渡後も一定期間継続される予定」としている。

ロッテリアは1972年に創業し、80年代にはエビバーガーなどの独自商品がヒットして存在感を示した。90年代に入ると、創業者次男の重光昭夫氏(現ロッテHD会長)が常務に就任し、低価格路線などでテコ入れしたものの、慢性的な赤字経営に陥った。

2000年代半ばには、現ロッテHD社長の玉塚元一氏が経営する事業再生会社が経営参画。業績は一時的に好転したものの、玉塚氏の会社が経営から離脱した後の近年はコロナ禍もあって再び苦戦。決算公告によれば、22年3月期こそ7.5億円の純利益を出したものの、それ以前の4年間は、21年3月期に4.5億円の純損失を計上するなどいずれも赤字経営が続いていた。

ロッテリアの経営権を譲渡した理由について、ロッテ側は「今般、グループの成長戦略の策定に際して、事業ポートフォリオの見直しを図る中、 ロッテリアの位置づけについても慎重に検討した結果、最適なパートナーのもとで、ロッテリアの更なる成長を実現することがベストな選択と判断いたしました」としている。

これに対し、ロッテ創業者長男で、元ロッテHD副会長の重光宏之氏はツイッターで「日本でのハンバーガーチェーン黎明期から展開してきたロッテリアが売却されるのは残念です」と惜しんだ上で、「韓国ロッテグループの資金繰りのために売られたのでなければいいのですが」と懸念を示した。なお、ロッテもゼンショーも経営権譲渡にかかる金額は公表していない。

韓国ロッテは韓国5位の大財閥だが、近年は百貨店やスーパー事業が不振を極め、21年3月期にはロッテHDが過去最大規模となる1000億円超の赤字転落。全社規模での事業見直しを余儀なくされている。

 
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