開戦1年、ウクライナに勝機はあるか?「非対称戦」の理論から占う

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#12
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学
  • ロシアによる侵攻から1年、ウクライナに勝機はあるか?
  • 小国 vs.大国 の「非対称戦」の理論でこの戦争の構図を読み解く
  • 非対称戦で小国が勝利するには?この戦争の行く末は?

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

第12回は、もうすぐ開戦から1年を迎えるロシア・ウクライナ戦争について、ウクライナがどのように勝利を得られるのか、非対称戦の理論を用いて分析する。

ゼレンスキー大統領(公式Facebookより)

非対称戦とは

非対称戦という言葉は、軍事・戦略研究においては頻繁に使われている用語だが、学術的な定義としては、ハーバード大学のイヴァン・アレグイン・トフト教授と、サイモン・フレイザー大学のアンドリュー・マック教授(故人)のものが有名だ。

アレグイン・トフト氏は、非対称戦とは、一方の交戦国の相対的な物質的パワーが他方の交戦国のパワーを少なくとも10対1で上回っている紛争と定義した。一方、マック氏は、非対称戦は、一方の交戦国の生存が危ぶまれる一方で、もう一方の交戦国は限定的な資源投入しか必要ではない戦争であると定義している。

非対称戦に関する関心の発展

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