朝日と読売どっちが正確?「日本人の起源」記事をファクトチェックすると…

港川人は日本人の祖先なのか?
2021年06月14日 20:00
ICPF理事長/東洋大学名誉教授
  • 港川人を巡る朝日と読売の記事の伝え方が対照的
  • 研究者による元の論文はネット上で公開。ファクトチェックしてみると…

「港川人」をめぐる同じ研究論文を取り上げた朝日新聞と読売新聞の記事が対照的な内容になっており、ネット上で話題になっている。

altmodern/iStock

朝日新聞デジタルが6月13日に『日本人の祖先は「港川人」? 旧石器時代、DNAで解析』と報じている。記事の冒頭には、「沖縄県で約2万年前の旧石器時代の遺跡から見つかった港川(みなとがわ)人が、現代の日本人に遺伝的に直接つながる祖先だった可能性がDNA解析からわかった」とある。

一方、読売新聞オンラインも同日付で「旧石器時代の「港川人」、現代日本人と直接つながらず…DNA分析「ルーツ論争」に一石」と伝えている。

共に、総合研究大学院大学、東邦大学、国立民族学博物館等の研究者が学術誌Scientific reportsに発表した論文を基にした記事なので、どちらかが間違っている。

幸い、論文は無償で全文公開されているので、ファクトチェックできる。

論文のポイントは「結果と考察」の章に書かれている。該当部分を英文と日本語で示すと次のとおり。

(英文)These results show that Minato 1 does not make clear cluster with any of the other samples, suggesting the Minato 1 is not directly related to the Jomon, Yayoi, and present-day Japanese. But it located near the root of haplogroup M. This suggests that Minato1 belongs to the ancestral population of present-day Japanese but also to the ancestral population of present-day East Asians.

(日本語)港1は他のどのサンプルとも明確なクラスターを形成しておらず、港1は縄文、弥生人、および現在の日本人と直接関係していないことが示唆される。しかし、港1はハプログループMのルーツの近くに位置しており、港1が日本人の祖先集団だけでなく、東アジア人の祖先集団にも属していることを示唆する。

これから、読売新聞の記事が正確で、朝日新聞は論文を誤解していることがわかる。

論文が強調しているのは、日本列島が火山灰でできた酸性土壌で広く覆われ生体分子の保存に適していないにもかかわらず、旧石器時代の人間の遺体から完全なDNA配列(complete mitogenome sequence)を取得するのに成功した点である。研究が着実に進展していけば、いつの日か、日本人の祖先も明らかになるかもしれない。

ICPF理事長/東洋大学名誉教授

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