なぜ日本人は投資をしないのか?長年の疑問が氷塊したきっかけ

投資意欲と株価指数の動きが関係?
ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラー/(株)イー・カンパニー代表
  • 資産形成セミナーで、投資をやる人、やらない人の知識の差が激しいことに気付いた
  • 日米の投資意欲とインデックスの伸び率は、実は連動しているのではないだろうか?
  • ビジネス、教育で世界を意識するように、投資もグローバル分散投資をめざそう

metamorworks/iStock

ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタントの八木陽子です。

昨年からマネーセミナーをオンラインで開催するようになってきました。

最初は、画面越しで大人数に講義することに慣れず、冷や汗タラタラでしたが、ようやっと慣れてきたように思います。

一般企業の会社員向けには、資産形成のテーマを多く行っていますが、そのときに感じるのは、投資をやっている人とやっていない人の大きな差。嗅覚鋭く、既にやっているはどんどんやっており、質問も鋭い。

なぜ日本人は投資をしないのか?

でも、やっていない人はいまだやっていません。漠然と老後が不安、お金をふやしたいと思っていたとしても、やらない人はやらないのです。そして、セミナー講師としては、実はとても話しづらいし、はがゆい。同じ会社の社員なのに、金融知識の差が激しいのです。

なぜ、投資や運用をやったほうがよさそうと思っても、やらない人がいるのか?

それは、私の中で長い間疑問でした。

「お金を増やしたくない」人はいるでしょうか? 増やす必要はない富裕層はいますが、誰だって、ストレートに言ってしまえば、お金は増やしたいのではと思います。

それなのに、なかなか浸透しないのは何故?

面倒、怖い、損をするのがいや、お金のことは苦手….など、挙がってくる理由は様々です。でも、それらが、世界で投資が進んでいる国と比べて、日本独自の国民性というほど際立っているようにも思えません。

いろんなアンケート結果を見てもあまりピンとくることがないままでした。

そのモヤモヤとした疑問に対して、あるときピンとくることがありました。

たまたま立て続けに、アメリカ人をご家族に持つ方からのマネー相談があったときのことです。

アメリカに住む母がS&P500連動型投信で積立投資をし続けて、現役のときよりも豊かな老後を過ごしている。日本に住む自分も始めたい。

アメリカに住む家族からインデックス投信で十分だと聞いています。

S&P500で豊かな老後? インデックス投信で十分!?

「もしや、投資意欲と株価指数の動きは関係する!?」と思ったのです。

Nuthawut Somsuk/iStock

ここで、少し用語の解説をしましょう。

投資信託とは、100円といった少額で始めることができで、投資家から集めた金額で、複数の株式や債券に預けられる金融商品です。

その投資信託のうち、インデックス投信と言われるものは、株価指数と連動したものになります。株価指数とは、日経平均225などを思い出してもらえるとよいでしょう。そう、ニュースの最後に読まれる数値です。バブルのときは3万円超えたなどと言っているオジサマが周りにいないでしょうか?

株価指数は、市場の平均値とも言われ、株価の全体的な推移を示すものです。つまり株価全体(株価指数)が上がれば、インデックス投信も上がります。アメリカの代表的な株価指数がS&P500、日本では日経平均225の他、TOPIXなどがあります。

お金のグローバル化をめざそう

そこで、アメリカのS&P500と日経平均225の30年間の値動きを30年間で比較してみました。

日経平均225が上がったり下がったり、細かな値動きに比べて、S&P500の右肩上がりのこと。

筆者作成

このざっくりした長期の動きからも、アメリカ人の中で、投資で成功した人の多さが伺い知れると思います。いつの間にか投資に肯定的な文化が形成されているのだと思います。

一方、日経平均225の動きを見れば、日本では、始めるタイミング次第ではなかなか利益が出づらいこともあり、損した人の噂を耳にする機会があったと推察できないでしょうか?

「じゃ、アメリカに全額!」は安直な感じがしますよね。実際に、アメリカ系の外資系企業の持ち株ですでに値上がりしすぎてしまい、1日も早く日本円にしたいと言う方もいらっしゃいました。利益が出なくても心配、出すぎても心配なものなのでしょう。

つまり、長期で資産形成するのなら、日本の市場のみではなく、また、アメリカの市場のみでもない。グローバルに、分散投資を積み立てていくのがよいと思います。

仕事をしている中で、世界の動向を意識している方は多いです。そして、教育においても、世界に羽ばたける子に育てたいと願う親が少なくないはずです。

同じく、お金の分野においても、日本だけを見つめておらず、グローバルで分散をめざすのがよいのではと思います。

 
ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラー/(株)イー・カンパニー代表

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