日本人が持つ「軍事アレルギー」の正体は何か?

橋爪大三郎「ポスト国連時代」の安全保障論 #3(最終回)
ライター・編集者

【編集部より】ウクライナ侵攻、台湾危機を前に国連の機能不全を覆い隠せなくなった新時代。日本はどうすればいいのか。新著『核戦争、どうする日本?――「ポスト国連の時代」が始まった』(筑摩書房)で渾身の提言をした社会学者の橋爪大三郎さんに思いの丈を引き続き伺います。最終回は、日本人の「軍事アレルギー」の正体に迫ります。(3回シリーズの第3回)

橋爪大三郎(撮影/佐藤類)1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授、東京工業大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。著書多数。近著に『性愛論 』(河出文庫)、『皇国日本とアメリカ大権』(筑摩選書)、日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』(集英社新書)など。

小学生でもわかる「軍事力が必要な理由」

――橋爪先生は以前から軍事に関する書籍を刊行されています。でも日本では、そもそも軍事が忌避され、理解されていないようにも思います。

【橋爪】軍事についてはいろいろ書いてきました。小学生向けに「軍事はどういうものか」を講義したこともあります。「どうすれば平和になると思う?」と聞くと「武器を全部なくせばいい」と答える。「でも、どこかの誰かが鉄砲を手に入れたら、みんな言うことを聞かせられちゃうな」「警察官はやっぱりピストルを持っていたほうがいい」「じゃ、ギャングがマシンガンで向かってきたら?」「戦車は?」「戦闘機は?」と聞いていく。誰かが武器を手に入れて人びとをいたぶらないようにするには、国家が武装するしかない。へんな国家が暴れ出さないためには、大国はしっかり軍事を整えているのが正しい。これが国際社会の原則なんです、って。

「核アレルギー」「権力アレルギー」の正体

――軍事と同じように、日本には権力アレルギーや、核アレルギーもあります。これも思考停止のもとですよね。

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