【特報】岸田首相、また災難…自民・石橋議員の顧問が経産省警告「詐欺事案」で訴訟ざた
お膝元広島で捜査当局注視、衆院選に影響は?- 広島自民の衆院議員の後援会顧問が訴訟トラブル。架空の国発注工事発注か
- 被害者側「後援会顧問の名刺で信用」。累積の損失額が約3500万円
- 捜査当局も注視。次期衆院選にも影響か。議員側はSAKISIRUの取材に…
自民党の石橋林太郎衆院議員(比例中国)の後援会顧問の男性が3月中旬、経産省から電柱などの非破壊検査業務を委託されたと偽って工事を発注したとして、広島県福山市の管工事会社から約3500万円の損害賠償訴訟を広島地裁に起こされていることが17日、明らかになった。
与党議員の長年の支援者でありながら、架空の“国発注”工事に関与した経緯について捜査当局は情報収集に乗り出しており、解散総選挙の観測が強まる中、岸田首相のお膝元で起きたトラブルの行方が注視される。

「架空発注」経産省が警告
経産省は20年9月、「全国非破壊電柱検査協会」を名乗る団体が「架空の電柱検査発注を持ちかけて入会金を要求している」として公式サイトで警告文を掲載。翌21年2月には「日本非破壊電柱検査協会」という団体が同様の手口をしていることに警鐘を鳴らしていた。被告の顧問男性は団体の「中国四国統括本部」本部長理事を名乗り、広島市内の自身のオフィスで委託事業の説明を頻繁に行うなど積極的な関与をしていた可能性が指摘されている。
訴状や関係者への取材によると、被告は顧問男性と「日本非破壊電柱検査協会」連合会広島支部代表を務める男性。また住所不明のために提訴には至らなかったものの、同協会理事の女性が架空工事の発注に関わったと指摘されている。
3人は2020年4月から経産省の委託事業であるとの説明を行い、検査業務を受託する業者を公募。原告の会社と取り交わした契約書には「この事業は、経済産業省から公益社団法人全国非破壊検査協会連合会代表者○○氏(※訴状では女性の実名)に委託された事業である」と明記していた。しかし経産省は前述の通り、一切の関与を否定している。

それにも関わらず、女性らは電柱や信号機、カーブミラー、ガードレールの支柱について測定器を使っての非破壊検査を行うと持ちかけ、「検査費用は国から1本あたり 2万円が支出され、そのうち 6,000 円を連合会に支払うこと、差額 1 本あたり 1万4,000 円が受託者らの報酬 になる」との説明をしたという。この説明を信じた原告の管工事会社は同年5月、島根ブロックと鳥取ブロックの加入金として計600万円を女性名義の口座に振り込み、同年6月には広島県内の1ブロックの加入金として150万円を被告の協会理事の口座に送金した。
さらに検査機の購入代として同年10月には507万円を女性の口座に入金。その後、原告の会社は実際に現場で検査業務を行う男性に2100万円を、調査報告書を作る別の男性に200万円をそれぞれ支払ったが、協会側から委託料が支払われず、累積の損失額が約3500万円にも膨らんだ。原告側が経産省に問い合わせて、協会側と無関係だと知ったのはこの後のことだった。原告の管工事会社のオーナーは「弁護士の判断で訴えられる金額は3500万に収めたが、ほかに2000万円ほどの損失がある」と怒り心頭だ。
経産省にも架空の電柱検査発注を巡る被害を訴える声が相次いでいたが、原告が問い合わせた時点の被害額としては経産省の担当者が「突出して高額」と驚いていたという。実際、大手信用調査会社の調べでも原告の会社は5人規模の小企業でありながら、同年12月期決算は赤字額が1000万円を超えている。会社側は被告ら3人に再三支払うように求めたが、内容証明郵便の受け取りを拒否するなど応じなかったため、今年3月に提訴した。
「後援会顧問の名刺で信用」
第1回の口頭弁論は5月の大型連休明けにも行われる見通しだが、ここで注目されるのが被告の後援顧問と与党現職国会議員である石橋氏との関係だ。
後援会顧問の本業は、広島市内に本社があるエネルギー関連会社会長。この会社は東京、沖縄にも拠点を擁し、資本金の額は1億円を超えるなど「やり手」ぶりにも見えるが、後援顧問は石橋氏の父で元県議の良三氏(2019年に71歳で死去)の代から支援者を務めている。「石橋事務所の内情を知り尽くし、良くも悪くも存在感のあるタイプ」(自民広島県連関係者)という。

原告の管工事会社のオーナーもかつて別の広島県選出の自民議員(当時)の後援会長を務めたことがあり、近年、政治関係者の付き合いの中で被告の後援会顧問と知り合った。県議だった石橋氏の国政進出に向けて党員獲得の協力を要請され、100人ほど紹介したこともあったという。オーナーは取材に対し「石橋氏の後援会顧問の名刺を見せられ、すっかり信用してしまっていた」と憤る。
石橋氏は1978年生の44歳。地元の名門、広島大附属高校を卒業後、大阪外語大に入るも中退。海外放浪の後、父の秘書などを経て2015年に県議選で初当選。地元選出の河井克行元衆院議員(公選法違反で服役中)が大型買収事件で失脚し、後任をめざしていた。
3区は広島市の郊外、安佐南区や安佐北区などで、岸田首相の地元、市中心部の広島1区のお隣だ。河井氏の後釜を狙った石橋氏だったが、結局、党本部の判断で広島3区は公明党の斉藤鉄夫国交相に譲り、21年衆院選は比例中国ブロック1位で優遇されて初当選した。
しかし以前も書いたように中国地方は「10増10減」で小選挙区が削減。県内外からも比例に回る現職が少なくとも4人はいて、石橋氏は共に比例単独だった杉田水脈氏とともに処遇が微妙になっている。
石橋事務所はどう答えた?
前回は悠々と初当選した石橋氏。全国的にはまだ無名だが、その後はお騒がせ続きだ。昨年9月には週刊文春に旧統一教会系団体との関係をスクープされ、2月20日の衆院予算委第1分科会では皇室典範について質問した際、「ご承知の通り、天皇陛下は天照大神の直系のご子孫」との“歴史認識”を示し、ネット上で物議を醸した。

広島県連の関係者が以前の取材で「石橋氏に今度スキャンダルがあった場合、岸田総理や党本部にとってむしろ難なく比例ブロックを調整しやすくなって“好都合”ではないか」と皮肉混じりに語っていた矢先に発覚した後援会顧問の訴訟トラブル。石橋氏側はどう認識しているのか。
石橋氏の事務所はSASISIRU編集部の取材に対し、後援会顧問との関係について「石橋の父親からのお付き合いでご質問の顧問をしていただいております」と認めたが、「ご指摘の方がどのようなビジネスをされているのかについては全く聞いておりませんし、『全国非破壊検査協会連合会』という団体もご質問を受けるまで存じ上げませんでした」とコメント。訴訟やトラブルについても「全く存じ上げません」としている。
身元がわからない人物を顧問につけているのであれば事務所の危機管理に疑義が生じるところだが、政府機関が警告していた架空の国発注工事に絡むとなれば、石橋氏の道義的な責任が問われる可能性もある。
原告は民事訴訟とは別に広島県警にも被害届を出しており、複数の関係者によると、県警は金の流れや、被告と石橋事務所との関係について情報収集に乗り出している模様だ。爆破事件で難を逃れたばかりの岸田首相だが、お膝元で新たな頭痛の種になりそうだ。
■
(関連記事)杉田水脈、平沼Jr、文春砲直撃1年生…岸田首相、お膝元で頭の痛い「衆院中国ブロック」調整
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