“炎上”女性現職とハーバード卒26歳らが激突!兵庫・芦屋市長選バトルロワイヤル
元タカラジェンヌ、元ABCアナも参戦- 統一地方選後半戦、関西注目の首長選は兵庫・芦屋市長選
- 前回僅差で勝った現職の市政運営に疑問符がつき、3新人が挑戦
- 新人はユニークな経歴ぞろい。26歳の新星が注目。選挙情勢は?
統一地方選の後半戦、東京・世田谷区長選では29歳の元財務官僚がベテラン現職に挑み注目されているが、関西に目を転じると、同じく“ハイソ”な街、兵庫県芦屋市の市長選がいつになく盛り上がっている。
市長選に際し、通例なら2期目の選挙は強いはずの女性現職が数々の“失政”で炎上。そこへ地元灘高出身でハーバード卒の26歳、タカラジェンヌ出身の元県議、ABCアナウンサー出身の元市議というユニークな経歴の新人が挑むバトルロワイヤルになっている。

芦屋といえば東京でも知られる関西屈指の高級住宅街。その歴史は大正期に現在の阪急電鉄が敷設するなど交通インフラの発達を背景に大阪や神戸の富裕層が家を建てるようになり、昭和期にかけて発展。朝日新聞の元社主、上野精一(1882〜1970)やダイエー創業者の中内功(1922〜2005)など名だたる経営者らも豪邸を構えた。
ハイソな住民たちだけにまちづくりの意識も先進的だ。日本ではいち早く電線を地中化し、街の景観を守ることにセンシティブ。2015年にはその伝統を守るため、全国的にも厳格な屋外広告物条例を制定した。パチンコ店が1軒もないことでも知られる。

議会で5度否決、問われる現職の手腕
そんな芦屋の市政の近況は東京でほとんど知られていないが、近年は議会に度々批判されるなど“炎上”が続いた。理由は2019年に市長に就任した伊藤舞氏の市政運営だ。
伊藤氏は神戸大大学院を修了後、保険代理店、外資ブランドでの勤務を経て2007年から市議3期。前回の市長選は自民党の元県議と「女性同士」の一騎打ちを、わずか593票、得票率にして1.6%の僅差をものにして初当選した。
ところが就任後の市政はネガティブな話題で新聞を騒がせることに。1期目はコロナ対応に注力せざるを得ない不運はあったとはいえ、懸案のJR芦屋駅南の再開発は議会で5度も否決。さらには市の幹部による部下へのパワハラ問題への対応のまずさも浮き彫りに。第三者委員会に「部下の訴えを放置していた」と指摘され、議会で問責決議案が可決されてしまった。兵庫県の自治体事情に詳しい官僚OBは「性格が悪い人ではないが、経営手腕に欠けた」と指摘する。
女性首長の2期目をめざす選挙は、東京都の小池知事が3年前に圧勝したことに見られるように通例は無敵であることが多いが、がたつく市政からの転換を訴え、ABCアナ出身の元市議、大塚展生氏がいち早く立候補を表明し、選挙1年前の22年5月に辞職。さらには市民団体が元加西市長で、都知事選にも出馬経験のある中川暢三氏に立候補を要請したこともあった。
中川氏は明石市長選に転戦したものの、前県議の中島香織氏が参戦。中島氏は市議も3期経験しているが、市民にはタカラジェンヌ出身として知られる。月組ではトップスターの天海祐希と同期だった。
ただ、ここまでの展開なら首長選でしばしばある“バトルロワイヤル”だが、彗星のように現れたNPO法人理事長の高島崚輔氏の登場が激戦を盛り上げている。
灘出身“ハイスペック”26歳の登場
高島氏が耳目を集めたのはそのハイスペックな経歴。関西ナンバーワンの進学校でおなじみ、灘中学校・高等学校出身で在学中は生徒会長を経験。大学は太平洋を渡って米ハーバード大学に入学したが、その前には日米で半年学期が違うことによるモラトリアム期間を東大で過ごしたという逸材だ。
ハーバードでは環境工学などを学び、出馬会見では「世界一住み続けやすい国際文化住宅都市をつくる」と意気込みを表明(参照:神戸新聞)。その才能に惚れ込んだ芦屋市居住の、灘の先輩でもあるロート製薬の山田邦雄会長が“応援団長”を買って出るという異例の展開になっている。
東大在学中の高島氏を指導した、元文科相補佐官の鈴木寛教授は「海外の環境NGOで活躍するなど他の選択肢がたくさんあっただけに、半年前に本人から出馬の意思を聞いた時は驚いた」と振り返る。鈴木氏は、高島氏とおなじくNPO経営者の出身で、数々の先進的な政策を打ち出す東京・渋谷区の長谷部健区長のアドバイザーも務めてきたが、「新しい形の民主主義に挑戦をするのに芦屋市は程よい規模。日本の政界では久々の大型ルーキーになりうる人材」とエールを送る。

選挙戦も折り返しを過ぎた。情勢はどうなのか。政界関係者は「ある陣営が告示直前に行なった独自の情勢調査では、現職の伊藤氏が先頭を走るものの、高島氏がすでに5ポイントほどの差まで追い上げていたと聞いている。灘中・高校のOBネットワークが稼働しているのが大きいのではないか」との見立てを示す。
26歳2か月の高島氏が当選すれば、1994年の東京・武蔵村山市長選に28歳0か月で当選した志々田浩太郎氏、2017年大阪・四條畷市長選に28歳3か月で当選した東修平氏らよりも若い“史上最年少”の市長が誕生することになるが、芦屋市民の選択はいかに?
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