ハマの大逆神?横浜市長選、元ベイ球団社長浮上も与野党困惑

本命不在の選挙戦、ダークホースに?
2021年06月16日 12:30
SAKISIRU編集長
  • 横浜市長選で、元ベイスターズ球団社長の池田純氏が野党候補で取り沙汰
  • 赤字続きのベイスターズを黒字に。球団改革を実績にするが現場の評判は…
  • 有名PR会社と近しい関係。「メディア選挙を仕掛けて思わぬ展開」も?

横浜市長選(8月8日告示、8月22日投開票)の情勢がますます混迷している。自民党は現職の林文子氏(75)を支援しない方針を決めたものの、先日筆者が書いた三原じゅん子氏(56)や松田公太氏(52)は選外になって、有力な候補者を決めきれていない。一方、立憲民主党は、毎日新聞がけさの朝刊で横浜市立大学の山中竹春教授の擁立へ最終調整と報じたが、前夜に先駆けて報じたニュースソクラは、後押しする江田憲司氏(党代表代行)の“ゴリ押し”に内部で総スカン状態だとも指摘する。現職の林氏は出馬に含みを残すものの、健康不安を抱えており、いわば「本命不在」の状態だ。そんな中で、与野党が動向を注視しているのが、横浜ベイスターズの元球団社長、池田純氏(45)だ。

池田純氏ツイッターより

野党候補に一時浮上

池田氏は1976年北海道生まれ。小学生の途中から横浜市で育った。早稲田大学卒業後、住友商事、博報堂を経て2007年、上場してまもない時期のDeNAに入社。マーケティングを担当し、33歳で執行役員に。同社が2011年、ベイスターズを買収した際に球団社長に就任。20億を超える赤字体質だった球団を、5年の任期中に黒字に転換するなど、球団改革に「成果」をあげたことを実績に掲げ、球団社長退任後もスポーツビジネスや上場企業の社外取締役として活動している。昨年3月にはプロバスケbリーグの3部、さいたまブロンコスを自ら買収。わずか1年で、数億円の債務を解消し、黒字化の目処が立ったと、ダイヤモンドオンラインの連載でアピールもしている。

この連載でも述べているが、池田氏は5月に入り、横浜未来​都市経営研究所の設立を発表。横浜市長選への出馬を明言こそしていないものの、先日のラジオ番組では「横浜凱旋」を宣言。昨年の都知事選直前に堀江貴文氏が著書『東京改造計画』を出版したのを踏襲するように、自らも『横浜改造計画』を出版する意向を示すなど、「思わせぶり」な発信が続いていた。そしてついに、テレビ神奈川(TVK)が先週、野党側の候補として江田氏の「意中の2人」に匿名ながら池田氏が入っていることが報道し、出馬を模索する動きは「公然の秘密」となっていた。

池田氏とは面識はないが、出馬への動きは筆者も少し前から把握し、与野党の関係者のほか、池田氏と過去に接点があるスポーツビジネスやメディア関係者を取材していた。

ハマのドン、元文科相がダメ出し

今回の市長選の争点は、メディアがIRの是非にするのは明白だ。野党側は左派などの固定の支持層だけではなく、かつては菅首相を支援し、現在はIR反対に回っている「ハマのドン」こと、藤木幸夫・横浜港運協会前会長(90)らの政治力も糾合して流れをつくることが勝算の前提になりそうだが、池田氏は「子供に説明できないことはやるべきではない」との考えから表向きはカジノには反対しており、政策的に連携は可能なようにも見える。

ところが、藤木氏周辺からは池田氏擁立に難色を示す声が出ており、江田氏が今回、山中氏のほうを選んだのはそのあたりもあるとみられる。藤木氏は横浜スタジアムの会長をつとめるなど、ベイスターズが大洋ホエールズだった時代から球場経営に関わり、DeNA参入後の球団事情も熟知している。池田氏自身は「ハマのドン」への配慮は十二分にしていたようだが、池田氏はトップダウンで球団改革策を進めようとする中で、あつれきも多々あった。過去の経緯を知る人たちによる怨嗟の声が背景にある。彼らにとっては市長選の切り札として「ハマの大魔神」どころか「ハマの大逆神」というわけだ。

他方、筆者自身も野球記者時代の人脈から、池田氏について耳にした評判はお世辞にも芳しくはなかった。ベイスターズ時代、他球団の経営改革で手腕を発揮したスポーツビジネスのスペシャリストともいえる複数の社員と折り合いが悪く、彼らは早々に球団を退社。彼らがのちに野球日本代表や別のプロスポーツビジネスでさらに活躍していたのをみると、マネジメントが妥当だったのか以前から疑問に思っていた。

さらに自民党文教族の中枢に近い関係者によると、こんな話も聞こえてくる。2019年、国内初の大学スポーツの統括組織として、大学スポーツ協会(ユニバス)を設立する際、鈴木大地・スポーツ庁長官(当時)が池田氏を気に入って事務局長に据えようとしたものの、文科相経験のある複数のベテラン議員が、この人事に猛反対して池田氏の事務局長就任は立ち消えになったというのだ。関係者は「ベイスターズ時代の評判が元大臣の耳には入っていたことが影響した」と語る。

「小池流」選挙を仕掛けるか?

池田氏といえば情報発信に積極的で、球団社長時代からブランディングに長けた印象があったのだが、これについて旧知のベテランの野球記者は、著名アスリートのマネジメントでも有名な、東証一部上場のPR会社との近しい関係を指摘する。同社は過去に選挙コンサルティングも手がけており、仮に池田氏が出馬する場合、協力する可能性も取り沙汰されているが、前出の野球記者は「メディアの操縦術に長けているだけに、選挙に出た場合、池田氏の現場での評判が市民に覆い隠されはしないか」と懸念を示す。

他方、池田氏が出馬した場合に勝算はあるのか。ある自民党の横浜市議は「池田氏は確かにベイスターズファンの間での知名度はあるが、横浜市民は野球ファンばかりではない」と冷静にみている。ただ、横浜市政の内情に詳しく、野党側とも強いパイプのある人物は「現職の林市長が待機児童解消に成果を出したことで、市民の経営者出身に対する印象はいいはずだ。本命が不在だけに、メディア選挙を仕掛けて市民に好印象をつくると、思わぬ展開もありうるのではないか」と警戒する。

この人物の指摘するように、たしかに全国の知名度があるような候補者の名前が出てこない中、2016年都知事選での小池百合子氏にように、最大多数の無党派層の支持を得て大政党に勝ちに行く都市部特有の選挙戦展開はありうる。もちろん林氏が出馬に踏み切った場合、自民党の後ろ盾がなかったとしても現職の知名度を活かし、戦いの中心になるのは確かだが、はたして池田氏は市長選のマウンドに立つのだろうか。

横浜市長選には16日昼現在、元内閣府副大臣で、前衆議院議員の福田峰之氏(57)、市議の太田正孝氏(75)、動物保護団体代表理事の藤村晃子氏(48)らが出馬を表明している。

 

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