維新にとって国民民主とのタッグは「令和の薩長同盟」になるのか?

フジ平井氏、アゴラ池田氏ら待望論
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役
  • 維新と国民民主に合流や連携を期待する待望論が浮上
  • M&A的にはありにも見えるが、スケールメリットを急ぎすぎると…
  • 自民党を単独で打倒できないが、合併を焦らずとも機が熟すワケ

衆参補選と統一地方選後半戦の投開票から1週間。岸田首相の解散がいつなのか様々な観測が続いた中で、ここにきてネットニュースでにわかに出てきたのが、日本維新の会と国民民主党の連携や合流への期待論だ。

国民・玉木氏(左)と維新・馬場氏(首相官邸サイト)

合流・連携へ「待望論」

口火を切った論客は2人。奇しくも同じ28日に掲載されたが、まずはアゴラの池田信夫氏。JBPressの連載で立民のスキャンダル追及型の行き詰まりや政策論争不在の国会を国民が嫌気したと指摘した上で、「維新・国民の両党が合流すれば、次の総選挙では野党第1党になる可能性もある」との見解を述べた。

ネットニュースで出てきた待望論(28日、スマートニュースより)

続けて同日夕方には、フジテレビの平井文夫上席論説委員が自社サイトの連載で「解散は年内だが、日本維新の会と国民民主党が連携したら自民党はマジでヤバいのではないか」とキャッチーなタイトルの記事をアップ。平井氏も政界再編や自民と政策競争できる野党第1党の出現を歓迎した。

いまの野党第1党である立民ではとてもではないが、政権は取れず、結果として自民党内の緩みを招くばかりか、地方によっては有権者のことよりも自民党内での勢力争いに汲々としているケースが見受けられる。不人気・落選続きの候補者を擁立して維新に補選を持って行かれた和歌山はその典型だ。民意よりも組織の都合を優先した結果だ。

やはり政権与党にはヘタを打ちすぎると野党転落がありうるという緊張感を持ってもらうに越したことはない。その意味で筆者もお二方と同じく「強い野党」の出現を期待している。少なくとも年々厳しくなる安全保障については現実路線の上で、経済や社会保障などで自民と対立軸を打ち出すのが望ましい。

政策的な観点でいえば、維新と国民は憲法改正や安全保障では共に現実路線でありながら、トリガー条項凍結解除の時などに一致したように、岸田政権が安易に進みそうな増税に反対する点では共闘できる。両党がもし一つの塊になるというのであれば、池田氏も平井氏も言うように立民でくすぶる保守系議員らも合流しやすい。M&A的に言えば、野党第1党をめざす維新にとって最大の難所である全選挙区への候補者擁立も選挙協力を含めて進めやすくなり、国民にとっても近畿で首長も輩出する維新の安定的な地盤は魅力的だ。

急いては事を仕損じる

しかしM&Aでスケールメリットを急ぐ余り、デューデリジェンス(資産査定)や市場環境の変化を見誤ると思わぬ失敗をすることがあり得るのは政党とて同じだ。

この記事は会員限定です。ぜひご登録いただき、続きをお読みください。サブスクなら読み放題です。

 
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事