「原則共同親権を!」別居親らが渋谷でオレンジパレード。マスコミが報じない現場の熱気

制度導入に現実味、過去最多の参加者

こどもの日の5日、東京・渋谷で、離婚後の共同親権導入を求める別居親らによるデモ行進「オレンジパレード」が行われた。法務省法制審家族法制部会は親権制度の見直しを前提に審議中だが、参加した別居親たちは単独親権との選択制ではなく、“世界基準”の共同親権の原則適用を訴えた。

共同親権導入を訴えるパレード隊(編集部撮影:※一部加工しています)

マスコミのスルーよそに熱気

オレンジパレードは2019年から継続され、今回が6回目。マスコミ向けに周知活動をしているものの、共同親権の問題を「タブー」扱いしてきた大手新聞やテレビがこれまで取り上げたことはない。

この日も一般紙やテレビの取材は見当たらず、SAKISIRU以外ではスポーツ紙やネットメディア、外国の新聞社などの関係者が姿を見せただけだったが、当事者のボルテージは上がっている。法制審による共同親権の導入検討で見直しが現実味を増したことで「ここまできた」と参加者。主催者によると、途中退出・参加を含め約350人がデモに参加したが、これまでで最も多いという。

出発前の集会には、国政政党で唯一、共同親権導入を政権公約に掲げる維新から4人の参院議員(石井章、石井苗子、梅村みずほ、串田誠一の各氏)が駆けつけ、自民、立民、維新など超党派の地方議員も各地から多数参列した。

国会議員らを先頭に渋谷の街頭を進むパレード(編集部撮影)

串田氏は維新の公約化に際して慎重論があったのを押し切ったエピソードを披露。石井章氏が「共同親権、法制審議会は生半可でしょうがない。子ども連れ去り(防止)法案もしっかりやるくらいでないと」と気勢を上げた。

パレードにはオーストラリアの当事者も参加し、「いま日本で起きていることは子どもが中心ではなく親の権利によって親から引き離されてしまう。オーストラリアからすれば異常な状態」と英語で挨拶、同時通訳者の経験がある石井苗子氏が即興で日本語に訳す一幕もあった。

壮絶なエピソードも披露

共同親権の国会質問の草分けだった中津川博郷元衆院議員は数々のエピソードを披露。初めて国会質問で取り上げた23年前を振り返り、「質問する方も答える大臣もわからなかった」と暗中模索だった往時を述懐。その後、ツイッターで親権問題を発信し始めたことを機に全国各地の別居親から相談が殺到したという。

この日のデモは共同親権を訴える複数の団体が共同で開催したが、その一つ「桜の会」代表の平山雄一郎さんと中津川氏との壮絶な出会いも明かされた。平山さんは子どもとの離別に悩み、焼酎を十数本、睡眠剤を飲んで自殺未遂も一命を取り留めた。生還後、平山さんの希望で対面することに。「そんなに死に急がんでいいだろう」。中津川氏の提案で、平山さんは団体を立ち上げ親権制度改正の運動を始めた。

パレードは神宮通公園から出発し、渋谷駅周辺を練り歩いたあと、表参道、原宿へ。夏日を思わせる炎天下だったが、「子どもの人権を守ろう!」「共同親権を進めよう!」などとシュプレヒコールを上げながら、行き交う大勢の買い物客らにアピールした。

表参道を練り歩くパレード隊(編集部撮影:※一部加工しています)

「これまでにない手応え」

パレードは90分ほど行い、同公園で締めの集会。国会議員で最後まで残った梅村氏は沖縄や三重など各地からの参加した人たちとの交流を振り返りながら、「私とお話しするとき、すごくいい笑顔を向けてくださる。でも、悲しみと苦しみの上に作られている笑顔なのだと、私たちはよく理解しています」と参加者に思いを寄せた上で、「子供の権利は必ず守る。パパかママかではなく、パパもママもだという、思いを一つにしての皆さんのお力を一つ一つお借りして、私も国会で精一杯訴えたい」と決意を語っていた。

また、「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」代表の武田典久さんが法務省が行った中間試案へのパブリックコメントの状況を報告した。パブリックコメントは異例の反響があったことが法務省の国会答弁などで明らかになっているが、詳しい数は現時点で公表されていない。しかし武田さんは独自に情報を入手。それによると、団体・個人合わせて約8000通のコメントが寄せられたという。

団体としての提出は90。このうち共同親権に賛成しているのが43団体だったといい、「多数決ではないが、当初恐れていた、(反対派に)圧倒的に数で負けるのでは、という懸念は払拭された」と成果を強調した。終了後、平山さんは「これまでにない手応えを感じている」と語り、悲願の親権制度見直しに期待を寄せていた。

 

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