小池知事のお膝元「西武池袋ヨドバシ出店問題」、豊島区新区長のお手並みは?

記者会見の発言に見る変化
  • 西武池袋ヨドバシ出店問題、豊島区新区長の対応は?
  • 就任会見で早速飛んできた質問へのロジカルな返し
  • 都庁時代は小池知事の秘書部長として薫陶。手腕に注目

統一地方選の後半戦では東京の11区長選のうち、江東、豊島、北で新人女性が初当選。選挙がなかった品川、杉並、足立を含めると、女性区長は歴代最多の6人になり、かつては高齢の男性区長ばかりだった23区区政に新風を吹き込んだ印象だ。

その中でも新たに豊島区長に就任した前副区長の高際みゆき氏は、東京都初の女性知事である小池百合子氏の“愛弟子”というだけではなく、「西武池袋ヨドバシ出店問題」の対応でもメディアの注目を集めている。

西武池袋本店(編集部撮影)

この問題は、西武池袋本店へのヨドバシカメラ出店計画が明らかになった昨年12月、高野之夫区長(当時)が「待った」をかけて騒動に発展。高野氏は出店そのものに反対していたわけではないが、アートとカルチャーにこだわった街づくりを進めてきた経緯から、低層階への入居に反対した。ただ法的根拠はなく、区議会の間でも「基本的には民間のことだ」と慎重な対応を求める声があった。

その後、今年2月に高野氏が新型コロナによる肺炎で急死したが、ヨドバシカメラ出店問題は世間で関心を持たれたため、高野氏の後継を決める区長選では各候補者が出馬会見の時点から、重点政策そっちのけで記者たちから区長になった場合の対応を尋ねられた。

選挙戦は自民、公明、都ファ推薦の高際氏が下馬評どおり当選。しかし就任してさっそく4月25日の初めての記者会見では出店問題について質問が飛んだ。

高際区長は「(高野前区長も)そもそも行政が民間企業の経営に口出しができるものではないので『入ってくるな』という乱暴なことを言っているわけではなかった」と念押しした上で、「私も区長として就任したので。まずはご挨拶をさせていただく場を早い段階で持ちたい」と対話の姿勢をにじませた。

記者会見する高際新区長(豊島区YouTubeより)

記者から「ヨドバシでもマンガやアニメとか豊島区が力を入れていたものに親和性が高い商品を扱っている。(百貨店で)ラグジュラリーとか宝飾品でなければいけないのか」とやや煽り気味の質問が飛んだが、高際区長は「そこが宝飾品をずっと売り続ける必要があって、ヨドバシさんが入ってはいけないっていうような理由はないと思う」とロジカルに返し、「入ってこられるプランニング、それを聞けば低層部(へのヨドバシ出店)も絶対だめかというと、これは聞いてみないとわからない部分もあるのではないか」との見解を示した。

記者会見の発言からは全体的に事業者側と柔軟に対話しようとする新区政の姿勢を示した形だ。高際氏は豊島区に副区長として赴任する前は東京都庁で20年余り勤務、都庁時代の終盤は小池知事の秘書事務担当部長を務めた。区長選の出馬会見に際しては小池氏が「早口なので、落ち着いてゆっくり」と助言、記者対応も“小池流”の薫陶で無難に乗り切った格好だ。

ただ、パフォーマンス先行の“師匠”と異なり、高際氏は行政出身者らしい堅実さを窺わせる。出店問題をどう早期決着させるのか注目される。

(関連記事)小池知事“国家老”高野前区長炎上の跡…豊島区長選で再注目「西武池袋ヨドバシ出店問題」

 

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