トヨタへの「脱炭素」巡る欧州株主の提案拒否、国内主要紙、テレビ鈍く

経済記者「トヨタに都合が悪い話は...」

トヨタ自動車は10日、ヨーロッパの投資会社3社から受けた「脱炭素」を巡る株主提案に反対する意向を表明した。過去最高の営業利益となった3月期決算との同時発表だったが、取締役会での株主提案反対決議を報じたのはロイター時事通信にとどまり、一夜明けた11日、日本国内の新聞各社朝刊やテレビ各局では一部を除き報じられなかった模様だ(※)

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株主提案はデンマークの年金基金アカデミカーペンション、ノルウェーのストアブランド・アセット・マネジメント、オランダのAPGアセットマネジメントの3社が共同で出した。トヨタに対し、パリ協定の目標や、トヨタが目標とする2050年のカーボンニュートラル達成に向けて年度ごとに評価し、目標と整合しない企業活動があった場合は、その概要や是正策を報告書に記載することなどを定款に盛り込むことを要求している。

提案は6月24日の株主総会ではかられることになるが、トヨタはこの日、取締役会で反対を決議。リリースでは「当社グループは、気候変動対策を重要な経営課題の一つと位置付け、2050年カーボンニュートラル達成を目指し、様々な取り組みを進めている。株主提案が求める内容も2021年から実施している」などと理由を述べている。

トヨタが株主提案反対決議を適時開示でリリースしたのは午後1時55分。ロイター(日本語版)が午後6時台に速報で提案から決議内容のあらましを速報し、時事通信が同8時台に短信で報じた。Googleニュースによると、国内で取材活動をするメディアで反応したのはこの2社のみ。他の大手新聞やテレビなど「主要メディア」は11日朝の時点では日経が報じた程度だ。

今回の株主提案は気候変動や脱炭素に関する日本とヨーロッパの意識の差を表す事象とも言えるが、トヨタは適時開示を国内版、英語版で公表しており、IR業務として通常の対応を行なっていた。以前から「トヨタ関連の話題は、トヨタに都合が悪い話は現場の記者が“忖度”する傾向がある」(全国紙経済部記者)とも指摘されるが、今回、ほとんど報道されなかったこととの関連性があるのか注目される。

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(※ 訂正)掲載当初、ロイターと時事通信のみと報じていましたが、日経が11日朝刊で掲載していました。見出しと本文を訂正します。

 

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