維新vs.減税派 で想起、「𠮟り役」がいなくなった政治の教育無償化

新たなコストか、未来への投資か
報道アナリスト/株式会社ソーシャルラボ代表取締役
  • 大阪の教育無償化に減税派が猛反発。かみ合わない議論の背景を考察
  • 止まらなくなったバラマキ、維新が教育無償化にこだわる背景とは
  • 維新統治を支えた好調な経済の指摘も不況の足音、問われる無償化成果

統一地方選での躍進を受け、大阪維新の会が公約にしていた高校・大学の無償化を加速している。9日には大阪府の戦略本部会議で討議され、大阪維新代表でもある吉村知事が「無償化は必要なものだと理解してもらえるよう、丁寧にやっていきたい」と述べた。

東京で遊説中の吉村氏(4/22、編集部撮影)

大阪府の無償化は現在、世帯年収910万円未満などの制限をつけて高校や大阪公立大学の無償化を行っているが、骨子案では、24年度から26年度にかけ段階的に所得制限を撤廃し、公立・私立問わず完全の高校無償化をめざす。府外の私立高に通う場合も対象とするなど財政が豊かな東京都でも踏み込めなかった全国でも初の取り組みだ。

無償化予算は高校が382億円以上、大学が45億円とそれぞれ想定し、財源は今年度で復元が完了する「減債基金」の積立金や財政調整基金を充てる方針だ。

興味深いのは政治の反維新勢力からもIR推進には猛反対しているメディアからも目立った「異論」が聞こえてこないことだ。選挙戦で公約の目玉に掲げて圧勝したからそれまでということなのだろうが、「孤軍奮闘」とばかり果敢にかみついているのがネットの減税派だ。

無償化の骨子が公表された10日、維新の音喜多政調会長が「私学に通う中学3年生の子どもを持つ身」として「震えるくらい凄いこと」「将来設計が劇的に変わります」と絶賛ツイートをしたところたちまち炎上。減税派から「無料化じゃなくて税負担化と言え」「維新まで、私立高校無償化=バラマキ=将来的な増税に賛成するのか?」などと袋叩きにあった。

筆者は維新幹部とも減税派とも相応に交流し、“友人”同士のいさかいには心を痛めるばかりだが、両者がぶつかる要因を自分なりに紐解いていくと、今から8年前、田原総一朗氏が筆者にズバッと言った一言を思い起こした。

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