エマニュエル大使のLGBT法制推し、自民・有村氏「外圧世論誘導、影響工作とすれば…」

「独立国家の矜持で毅然と」外務省に注文も

LGBTなど性的マイノリティの理解増進に関する法案は15日、参院内閣委で可決され、16日の本会議での可決・成立を残すのみとなった。

法案に不満を募らせる保守層のストレスはたまるばかりだが、同法案の旗振り役として内政干渉が指摘されるアメリカのエマニュエル駐日大使の言動について、とうとう自民保守派から政府に対し毅然とした対応を求める事態となった。

質問する有村氏(参院ネット中継)

質問をしたのは有村治子氏(全国比例)。選択的夫婦別姓反対や領土問題への積極的な発言など、自民党内でも保守派女性議員の代表格で知られ、第2次安倍政権では初代女性活躍相を務めた。

この日、質問に立った有村氏は、アメリカ国内のLGBT法制の状況について外務省側に尋ねた。答弁に立った同省北米局の宮本新吾参事官は「連邦レベルでは様々な考え方があり、性的嗜好、性自認に特化して差別禁止を定める法律はない」と述べた上で、州レベルでは「積極的に進めているところから批判的な法律を制定しているところまで州によって幅広い違いがあると認識している」と回答した。

これを受け、有村氏は「すなわちエマニュエル大使は日本にLGBT法案を強く迫ってくる行動を重ねる一方で、出身国の米国では民主党、共和党においてもLGBTに関して様々な立場、法に対する立場があり国レベルでのLGBT法案は成立していないことを外務省が 証言した」と強調。

続けて有村氏は「本国で実現できていないことを声高に日本に迫る外圧世論誘導、影響工作であるとすれば、これを警戒する声 が出てくるのも無理からのことだと考える」との見方を示した。影響工作は、中国やロシアなど日本が安全保障の脅威として対峙する国が引き合いにされるのが一般的だが、政権与党の議員から同盟国の駐日大使の言動について指摘されるのは極めて異例だ。

y-studio/iStock

有村氏は「LGBT法案に向き合う日本の現状について、大使は『日本は進化の過程にある』と公言し、日本を見下し評定するような不遜な態度は日米関係を大事にしたいと思う国民層を逆撫でし、毀損する」と猛反発。さらにエマニュエル氏がツイッターで、岸田首相や公明党のリーダーシップを称え、法案が次週に成立見込みなどと投稿したことについても「国民の代表である与野党各会派の合意によって確定をする国会運営をも愚弄するものだ」と非難した。

その上で「日本は独立主権国家だ。他国の支配や干渉を受けず、国の統治のあり方を決める主権は、日本国および国民にある」と言明し、外務省側に対し「しっかりと独立国家としての矜持を持って毅然と向き合ってもらいたいと考える国民の声に日本政府を代表 する外務省は一体どのように向き合われるのか」と追及した。

これに対し、外務省は宮本氏が「大使による様々な発言発信については 承知している」と述べた上で、「駐日米国大使を含む 米国側とは日米同盟のマネジメントの観点 から必要に応じて様々なやりとりを日々行っており、私どもとしては国民の信頼のもとでしっかりとした外交を進めていきたい」と述べるのがやっとだった。

 

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