「強訴」「御所巻」…ワグネル撤兵に日本史ワードが話題に

「本能寺の変」想起の事態から流血回避

英BBCによると、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」代表のエフゲニー・プリゴジン氏は24日夜(日本時間25日未明)、テレグラムに「ロシア人の血が流れる責任を理解し、隊列を方向転換させ、予定通り野営地に戻る」と述べ、武装蜂起を取りやめる意向を示した。

プーチン大統領との交渉で、ワグネルの戦闘員らの雇用を継続し、プリゴジン氏がベラルーシへ亡命することが決まった。

プーチン氏とプリゴジン氏(2010年撮影 出典:Government of the Russian Federation)

今回の武装蜂起は、ワグネル側がロシア側から攻撃されたと主張し、ロシアのショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長への面会などを要求したことに端を発する。ワグネルはロシア南西部ロストフ・ナ・ドヌのロシア軍南部軍管区司令本部を制圧。モスクワ周辺のロシア軍は軽装備の治安部隊が中心で、重装備のワグネルの首都制圧の可能性も取り沙汰されるなど緊迫していたが、ワグネル側は首都まで約200キロのところで引き返した模様だ。

ツイッターでは今回の武装蜂起について、日本のユーザーから安土桃山時代の「本能寺の変」を想起する見方が相次いだが(関連記事)、一触即発の緊張状態から一転、流血が回避されたことを受け、平安時代の「強訴」や室町時代の「御所巻」が言及されるように。「御所巻」はこの日朝のトレンドワードに一時入った。

画像:いらすとや

『世界宗教用語辞典』によると、「強訴」は平安中期から室町時代にかけ、寺社の僧などが宗教的な権威を振りかざしながら朝廷や幕府に対し、さまざまな要求を行った集団行動をさす。

奈良・興福寺や滋賀・比叡山延暦寺の僧兵らによる強訴が有名で、『平家物語』には白河法皇が自らの意のままにならない3つの事象について「賀茂川の水、双六の賽、山法師。これぞ我が心にかなはぬもの」と嘆く様子が描かれている。

また、Wikipediaでは「御所巻」について「室町幕府において諸大名の軍勢が将軍の御所を取り囲み、幕政に対して要求や異議申し立てを行った行為」と説明している。

幕府初期の内紛(観応の擾乱)で、初代将軍・足利尊氏の弟、直義の追放を要求しようと、重臣の高師直が尊氏の屋敷を取り囲んだり、幕府中期の応仁の乱の際に、8代将軍義政の邸宅を大名が包囲したりした故事が代表的な例とされる。

 

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事