処理水放出、公明・山口氏「海水浴シーズンは避けた方がいい」が波紋、「発言が風評被害」の声

自民党内から反発も

東京電力福島第一原発の処理水放出時期を巡り、公明の山口代表が2日、「海水浴シーズンは避けた方がいい」と発言したことがネット上で波紋を呼んでいる。

波紋を呼ぶ山口氏の発言(官邸サイト、資源エネルギー庁サイト)

山口氏はこの日、遊説先の福島市内で記者団から処理水問題に対する見解を尋ねられ、

やはり風評を招かないということは大事であり、直近に迫った海水浴シーズンなどは避けた方がいいのではないか。いたずらな不安を招かないように配慮をするということはあってしかるべきだ」などと発言した。

処理水を巡っては政府は、基準を下回る濃度に薄めた上で海洋に放出する方針。今週4日に来日するIAEAグロッシ事務局長から検証結果の報告書を受け取る予定だ。処理水放出を巡っては国内の漁業関係者が反対しているほか、中国、ロシア、韓国などが日本に対するネガティブキャンペーンに利用してきたが、韓国は日本との関係回復に乗り出した尹錫悦政権が容認に前向きになりつつある。

政府は国内外の反応を見極めながら慎重に放出時期を探っているが、政権与党トップの1人から早期の放出に消極的な姿勢を明確にしたことは岸田政権や経産省の対応に悪影響を与えかねない。

ツイッターでは山口氏の発言に反発や懸念が噴出した。

専門家ではエネルギー問題に詳しい元経産省の政策アナリスト、石川和男氏が「実関係だけを言えば、処理水放出による海水浴への悪影響は全く考えられず、いつ放出しても何ら心配ない」と指摘した上で、「こうした発言に自民党が感化されるとなれば、日本の政治は科学や国際機関の判断を信じていないという恥ずべき話。 岸田政権は、普通の判断で物事を進めるべし」と、政府自民党側に自制を求めた。

処理水問題について以前から科学的な対応を求めてきた維新の柳ヶ瀬裕文総務会長は「このような発言が風評被害を生み出す」と批判。

政界を引退した前大阪市長の松井一郎氏も「山口さんの発言が風評被害って事ですね」と皮肉った。

自民党内からも反発の声も。外科医でもある松本尚衆院議員は「こういう発言こそ風評被害を惹起するということが分からないのか?」と猛批判。「福島の産業復興のためには国民が一丸となって風評を跳ねつけるべき時」と強調した。

民間人からも批判が続出。田端信太郎氏は「コリャ自民も公明と連立解消した方がいいね」と呆れた様子。

放射線治療専門医の上松正和氏は「お気持ちだけで科学を理解せずに結局は人を傷つけているんじゃないかな。宗教的な政治はやめて欲しい」と非難していた。

 

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