平井大臣が文春に猛反論、朝日記者とは記者会見で「論戦」

平井氏「バイアスをかけないと...」と朝日記者に
  • 文春に疑惑を報じられた平井デジタル担当相が猛反論、抗議と削除要求
  • 朝日が報じたNECと、文春が報じたベンチャーの調達案件は「別物」
  • 食い下がる朝日記者に、平井氏は「よっぽどバイアスをかけないと…」

平井デジタル改革担当相は18日午前の記者会見で、デジタル庁事業をめぐり、具体的な企業をプッシュするかのような発言を役所の会議でしていたなどと前日発売の週刊文春が報じたことについて「内部の音声データをあらためて確認したが、具体的な企業名をあげたことは事実としてない」と疑惑を否定し、文藝春秋社に対し抗議するとともに、記事の訂正と削除を求めたことを明らかにした。

平井氏はさらに、文春がネット上に公開している音声についても「非常に不鮮明な部分を意図的にテキスト(文字)で補っているように思える」との見方を示し、コンプライアンス委員会での徹底検証とともに、音声データの公開についても「公開を前提としていない内部の録音だが、事務方に確認し、法律に触れないのであれば」との条件付きで検討する意向を示した。

記者会見で朝日・松浦記者と「論戦」した平井氏(政府インターネットテレビ)

平井氏をめぐっては朝日新聞が先週、独自に入手した会議の音源に基づき、平井氏が、東京オリンピック・パラリンピックで使用するアプリの開発費削減に関連して発注先のNECを「脅したほうがよい」などと発言していたと報道。文春はさらにこの朝日が報じたやりとりに「前提」があったとして、平井氏が、付き合いのあるAI研究者の教え子らが創業したベンチャー企業の名前を挙げていたなどと報じた。

これに対し、平井氏はこの日の記者会見で、NECの事業は、オリパラ関係者の入退場時の顔認証技術のことであり、問題とされたベンチャー企業については、デジタル庁の入退室管理で使うことを検討する顔認証技術のことで、別物だと強調。質疑応答では、朝日の初報を書いた経済部の松浦新記者が真っ先に手を挙げ、「具体的な企業を念頭に置いていたのか」などと追及したが、「(AI研究者の)研究室で研究しているアルゴリズムは相当進化している。(職員に対し)いまある技術だけをみるなという意味で言っている」と説明。

「音源があるから立証できる」

松浦記者が「わざわざNECを比較対象にあげていたのはなぜか」と食い下がると、平井氏は「(オリパラとデジタル庁という)2つの調達を無理矢理くっつけてお話になるのもいかがなものか」と突き放し、松浦記者が確認するように質問をし続けると、平井氏は「まずデジタル庁の調達はまだない」とそもそもの事実を言明。「正直申し上げて(デジタル庁の)入退室管理は顔認証ではない。いずれそういうのを(顔認証を)検討するのであれば」などと補足した。

それでも松浦記者は「(平井氏の録音での発言は)システムを実験的にいれてくれてもいいよ。当然(AI研究者の)先生の名前を一緒に出しちゃっていいよ、と言っているわけですから、これから発注しなさいよと聞こえる」と音源を聞いての持論をぶつけた。平井氏は「本当にそういう風に聞こえるのはよっぽどそういうふうにバイアスをかけないと思えない」などと苦笑気味に答え、「企業名は言っていないし、念頭にない。オリジナルの音源があるから(企業名を)言ってないと立証できる」と強調していた。

記者クラブには文春記者が入っていないため、朝日の松浦記者がいわば文春の代弁も兼ねて平井氏を追及した面もあったが、音源の元データに自信を持つ平井氏と松浦記者のやりとりは最後まで噛み合わなかった。「平井大臣VS.朝日&文春コンビ」のバトルはどんな展開をたどるのだろうか。

この日のバトルを全編ご覧になりたい方は政府インターネットテレビで(動画の15:51ごろ〜)

 

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