池袋暴走事故「直接対決」飯塚被告の態度にネット民の怒り噴出

「責任を感じているか」の問いに「責任という言葉は非常に曖昧」
  • 池袋の暴走事故の刑事裁判で、遺族の松永拓也さんと飯塚被告が「直接対決」
  • 松永さんの「責任を感じているか」の問いに被告は「責任という言葉は非常に曖昧」
  • 自己弁護を繰り返す飯塚氏の無反省ぶりにツイッターではネット民の怒りが噴出

y-studio/iStock

東京・東池袋で2019年4月、松永真菜さん(当時31歳)と莉子ちゃん(当時3歳)が、旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告の運転する車によってはねられ死亡した事故の刑事裁判が21日、大きな山場が訪れた。遺族の松永拓也さんが、刑事裁判における「被害者参加制度」によって飯塚被告に直接質問し、社会的に大きな関心を集めた。この日に先立ち、松永さんはツイッターで雨に濡れる墓前の写真とともに、このように心境を投稿していた。

妻と娘がなくってから2年2ヶ月。雨の中、二人とお喋りしにいきました。今日(19日)は月命日で、明日は父の日、明後日は裁判と立て続けで、精神的な山場になりそうです。葛藤は続きますが、被告人質問の準備を続けます。

飯塚被告は、過失致死傷(自動車運転処罰法違反)の罪に問われているが、昨年の初公判以降、事故は車の故障によるものと、無罪を主張し続けている。飯塚被告は2020年に在宅起訴されたものの、現在に至るまで逮捕されていない。松永さん親子のみならず、11人が死傷したにも関わらず、事故時も書類送検だけにとどまった。国民からは、飯塚氏が旧通産省工業技術院の元院長であったことから、「上級国民だからでは?」という憶測がひろがっていた。

「心からお詫び申し上げる」と昨年10月の初公判では謝罪したものの、今年4月にあった前回の被告人質問では、検察官がドライブレコーダーの証拠と、飯塚被告の供述には矛盾があった。検察官が、アクセルとブレーキの踏み間違いの可能性を問うと「踏み間違えたという記憶は一切ない」と強い口調で答えた。「アクセルを踏んでいないのに加速した」からと、一貫して車のせいにして、自らの過失は一切、認めていない。

「あんな人に命を奪われたなんて。永久に知らない人でいたかった。本当にふざけないでほしい。返してほしい」松永さんは4月の裁判後会見で、涙に震えながらそう語っている。

迎えた“直接対決”当日。午後1時半頃、飯塚被告が弁護人に車椅子で押されながら入廷した。被害者家族の前でも自らに一切過失はないと主張し続ける飯塚氏の態度に、変化はあったのだろうか?

事故から約半月後の現場。多くの人が花をたむけ、手を合わせていた(東京・東池袋で:編集部撮影)

松永さんは、用意してきた質問の紙をもとに「妻と娘の名前を漢字で書くことができるか?」と問うた。すると、飯塚被告は「(娘の)莉子さんは難しい字なので、書いてみることが出来ないと思います」と答えた。

松永さん「あなたは裁判で、1度も2人の名前を言っていませんね」

飯塚被告「ええ。今までちょっとそういう機会が無かったと思っています」

やり取りが続いたあとに、松永氏が真意をただす。「あなたは無罪を主張していますね」と聞くと、「心苦しいとは思っていますが、私の記憶では踏み間違いはなかった。過失はない」と主張した。

責任を感じているか」と問いただすと、「責任という言葉は非常に曖昧。車に乗らずにいれば、事故が起こらなかったという意味でも悔やんでいる」と、自らに責任はないと強調する意図があきらかだった。

そして、「足の機能が衰えていると思わなかったのか?」との問いには「足ではなく、脳の司令が上手く伝わっていないから」と答えた。運転能力とは関係ないと言いたいようだが、ここでは、認知症を自ら認めているようにもとれる。

被害者家族からの問いかけにも、「過失はない」と自己弁護を繰り返す飯塚氏の無反省ぶりにツイッターでは、

いやいや、あんたの過失しかない。

運転してたのあんただろ

ただ呆れるばかりだ

The 老害

この男性は留置所にいるわけでなく、自宅にいる。寿命がくるまで刑務所に入らないための時間稼ぎでは

などの声が相次いだ。ほとんど書き込みが飯塚被告への怒りや非難が噴出したかたちだった。

「奪った命と向き合ってほしい」拓也さんは今年1月の記者会見でそう訴えていた。飯塚被告は松永さんのメッセージを、心から受け取っていたのだろうか。松永さんが訴えたかったのは、飯塚被告からみた、命を落とした2人に対する“存在の耐えられない軽さ”だろう。次回は7月15日。結審する予定だ。

 

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