中国AI軍事革命 #1 「自律型兵器」が尖閣を襲う日

『知能化戦争』監訳、慶応大・安田淳教授に聞く
ライター・編集者

「中国は、もはや人対人の戦争を想定していない」――。これは、中国の現役軍人・龐宏亮が書いた『知能化戦争――中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争』(五月書房新社)に明確に書かれた近い将来の軍事ビジョンだ。人民解放軍の自律型兵器導入構想とは。尖閣に自律型兵器が投入されたらどうなるのか。中国共産党100周年となる7月1日を前に、監訳者で中国の安全保障に詳しい安田淳・慶応義塾大学教授に話を聞く。(3回連載の1回目)

すでに中国は「人対人」の戦争を想定せず

――安田先生が監訳された『知能化戦争』。中国の現役軍人が書いた論文で、戦争における武器の変遷を追いつつ、近年の情報化戦争、人間が遠隔操作する無人機、そして「知能化」、つまり自律型のAI兵器の実戦投入を前提に、それによる軍や「戦争」そのものの変化について書かれています。

【安田】著者の龐宏亮は、原著である『21世紀戦争演変與構想:知能化戦争』の略歴によると、中国国防大学国家安全学院の副教授であり、中国人民解放軍の大校(上級大佐に相当)です。人民解放軍は、軍人をオペレーション担当者と、アカデミズムで研究領域を歩み続ける人とに分ける傾向があるようで、著者は後者に当たります。

中国も少子高齢化の懸念が出始めていて、軍としてもこれからのマンパワーをどう補っていくかが課題になっています。

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