都民ファ離党の都議が語る…小池知事と東京都民に申し上げたい率直な思い
不出馬の都議選を前に。希望と絶望…4年間を終えて- 25日告示の都議選に際して、不出馬を決めた現職、奥澤高広氏の手記
- 希望から絶望へ。都民ファースト離党の真相。小池知事への思い
- 都議選に都民はどう臨む?「小池知事になんでも賛成、反対はダメ」
(編集部より)東京都議会議員選挙が25日スタートする。小池旋風にわいた4年前、希望を抱いて都民ファーストの会から出馬し、のちに仲間とともに離党。今回の都議選には不出馬を表明した奥澤高広氏が、小池知事と東京都民にいま伝えたい思いとは?

都議選への不出馬を決意
東京都議会議員のおくざわ高広(町田市選出)です。先日発表した通り、私はきょう6月25日告示、7月4日投開票の東京都議会議員選挙に立候補しないことを決めました。39歳という年齢、まだ1期目であるということから、惜しむ声とご批判を双方いただいているところです。4年間を振り返ると、政策面ではソーシャルファームが実現し、いじめ防止の傍観者プログラムやパートナーシップ制度に道筋をつけることができ「やり切った」と感じています。一方で、「ふるい都議会をあたらしく」するという4年前の約束を果たせなかったという申し訳ない気持ちは強いです。
政治に興味が無かった20代
簡単に自己紹介をすると、私は30歳になるまで全く政治に興味がなく、投票にすらいきませんでした。学生時代は、元巨人軍の高橋由伸さんに憧れて慶應大学に入学、野球部ではヘッドコーチを務めました。大手不動産企業に就職した後に、教育から若者の人生に伴走したいと学習塾に転身。そこで知ったのは、私たちの暮らしは実は政治と密接に繋がっているということ、一方で、その声は政治家には届かないという現実でした。学校での教員から生徒へのいじめ、スポーツする場所がないという子どもたち、生活困窮で進学をあきらめる生徒の声を届けようとしても、話すら聞いてもらえなかったことは、今も私を「政治嫌い」にさせる要因です。
その憤りから、30歳で西村康稔衆議院議員(現新型コロナ担当大臣)の門をたたき、政治を一から学ぶことにしました。政治のイロハを学ばせて頂き、心から感謝しています。一方で、これまでの政治システムでは日本は変わらないと感じる場面もあり、新しい政治の姿を求めて、秘書をやめて東京に帰ってきました。そのような中、小池知事が「希望の塾」を開講し、新しい政治を目指すという話を聞き、私も参加することになりました。
都民ファースト離党の真相
「希望の塾」で何より驚いたのは、若者、女性、ベンチャー経営者といった、これまでの政治の集まりでは見たことのない人たちが熱をもって東京の未来を語っているところでした。「この熱量、政治が変わるかもしれない。」淡い願いが強い期待に変わり、その願いが集約された象徴的な言葉が「ふるい都議会をあたらしく」でした。
しかし、都議選から3か月後、状況は一変しました。希望の党を立ち上げての衆議院議員選挙です。小池知事の排除発言が取りざたされますが、もっと大きな問題は、ベンチャー政党であるにも関わらず、そのビジョンが定まらず、ガバナンスもない状態で選挙に突入したことです。新しい組織にとって最も大切なチームビルディングをする機会が失われてしまいました。
その後の組織運営は惨憺たるもので、これまでふるい都議会の象徴としてきた政治資金パーティの開催や議場でのヤジが横行するだけでなく、意思決定過程が不透明、例えば、業界団体からの意見書提出について、賛否を問う本会議開催当日にその中身が明らかにされるといったこともありました。また、一部議員のパワハラともとれる職員への高圧的な態度、他会派の質問を事前に入手したことを手柄のように喜ぶ姿を見て、愕然としました。
私としては、代表選の実施や党内政策プレゼン大会など具体的に30の改革案を提出しました。特に、代表選については、開かれた場所で方針を議論することが、党の自立、発展に大きく寄与すると考え、小池知事(党特別顧問)にも直談判しました。当初は小池特別顧問も前向きでしたが、気付くと「奥澤のクーデターだ」とありもしない噂が流され、私と一緒に党内改革を訴えていた人たちは霧散しました。
このままでは、4年間を無駄に過ごすことになる。強い危機感を共有する森沢きょうこ議員、斉藤れいな議員と共に、無所属東京みらいを立ち上げ、現在に至ります。
小池知事への率直な思い

小池知事がいなければ私は都議会議員になっていませんし、「希望の塾」をはじめ、政治が変わるきっかけをくれたことには、とても感謝しています。政策面では、待機児童の大幅な減少など東京大改革として掲げて取り組んできたことは、これまでの発想や価値観にとらわれない小池知事ならではの功績だと思います。一方で、コロナ禍の対応にあっては、客観的な事実に基づく論理的な判断や説明が必要な場面で、世論を気にしたり、キャッチフレーズで社会を動かそうとする場面も散見され、議会が厳しくチェックしなければならない部分です。
議会のあるべき姿について自問自答を繰り返してきた私なりの答えは「リスペクト」つまり、「お互いを尊重しつつ、時に団結し、時に激しく議論しながら、都民のために働く政治家」を一人でも増やすことです。全会一致で成立した「東京都こども基本条例」や趣旨採択となった「パートナーシップ創設を求める請願」において、決して政局にしてはならないと並々ならぬ努力を重ねた先輩議員がいました。都民の声を聞き、党派の垣根を越えて解決に向かう姿勢が目に焼き付いています。当たり前と感じるかもしれませんが、その当たり前ができていないのが今の都議会です。
都議会は国政の代理戦争ではない
さて、まもなく東京都議会議員選挙が始まろうとしています。新型コロナ対策やオリンピック・パラリンピックへの対応など、国対都、あるいは○○党対△△党という対決構図が報道されますが、東京都は一自治体であることを忘れてはなりません。日本の首都であり、年間約15兆円もの予算を扱う巨大な組織ですが、知事を筆頭にする都庁が行政サービスを行い、都議会がそれを監視するという「二元代表制」の原則から外れることはありません。小池知事の意思決定に対して、なんでも賛成、なんでも反対、そのどちらもダメなのです。
政策的には、アフターコロナの東京都をどう描くのか注目です。医療、経済、教育、子育て、コロナ禍は日本の弱みを浮き彫りにしました。生活はますます厳しくなり、社会の生きづらさや政治の不公正さに憤りを感じている方も少なくないと思います。また、文化芸術や飲食をはじめ、一人ひとりの大切なものを政治が奪っていくことを痛感している人もいるでしょう。
選挙に正解はありません。それが正しかったかどうか分かるのもずっと先です。それでも選挙に行ってほしいです。あなたと同じ目線で、あなたの大切なものを守ってくれるのは誰なのか。都庁という巨大組織にもひるまずに立ち向かっていける候補者を選んでいただきたいと思います。
何はともあれ、投票へいこう。そこから未来が変わります。
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