夫婦別姓の禁止、最高裁が「合憲」。申立人は「婚姻届が提出できず残念」

最高裁「国会で論ぜられ、判断されるべき」
ライター
  • 最高裁が夫婦別姓を認めない現行の規定について「合憲」判断
  • 申立人3組の男女は弁護団と記者会見。「婚姻届を出せず残念」
  • 最高裁判決は「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」

最高裁大法廷は23日、夫婦別姓を認めない現行の民法と戸籍法の規定について「合憲」と判断した。夫婦別姓について最高裁が判断するのは、2015年以来で2回目。15人中11人が合憲、4人が違憲と判断した。申立人と弁護団は同日、記者会見を行った。記者会見の様子はzoomでもライブ配信され、申立人となった3組の男女が、それぞれ所感を述べた。

最高裁(エンリケ/写真AC)

申立人のなかには、婚姻届を用意してきた男女もいた。

本当は帰りに婚姻届を市役所に出したかったのですが、出せなくのが残念です。違憲判断が出るとの期待を込めて婚姻届を書いたんですが

夫の氏と妻の氏の両方にチェックをして、「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」と書いた婚姻届を持参していた。

これは私にとってすごく大事なものなんです。大事なものを心に浮かべて、紙に書いて欲しい。大事なものを破られたような気持ちになって。持ってきた婚姻届を破いてやろうかと思ったんです

記者会見ライブ配信画面のスクリーンショット

苗字の違う親子はすでにいる

申立人からは、このほか、次のような声があった。

すでに国際結婚や事実婚など、さまざまな形で家族でも苗字が違うケースがあり、社会生活を送っているのが現実。選択的夫婦別姓を導入しても、これから新たに問題が起こるものではないことは、すごく伝えたい。

期待はしていたのですが、違憲という結論にはならなかった。大変残念です。15人のなかの違憲判断した裁判の数が15年より減って4人となりました。

内容は残念ですが、国会で真摯に判断すべきと国会にボールを投げていると理解している。

男性女性に限らすべての人にとって、非常に重要な問題。国会にもう一度ボールが投げられた。何度ボールを投げればいいんだろうと思っている。

事実婚や国際結婚、離婚、再婚などで、親子の苗字が違うケースはすでに実在している。親子で苗字が違う子供は可哀想だというメッセージを固定化するのは、社会としておかしいのではないかと思う。

選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長の井田奈穂氏は、こうコメントを出した。

落胆はしていません。
裁判はこれ一件ではなく、今後も続いていきます。
法律は時代や国民のニーズに応じてアップデートされていくものです。
婚姻制度も例外ではありません。

最高裁の決定文書では、次のような文言があった。

この種の制度の在り方は、平成27年大法廷判決の指摘するとおり、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである

司法ではなく、国会での議論によって答えが導かれるべきだという判断だ。選択的夫婦別姓については、保守層の間でも意見が分かれており、賛成意見も増えつつある。政治側にあらためてボールが投げられたとも言えるなか、今後の議論に注目したい。

 

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