「減税」から見た都議選各党公約、ホンキでやる勢力はあるの?
自民党が前のめりの異例、問われる実効性- 「減税」視点から都議選の各党公約。自民党が前のめりの異例
- 都民ファーストの会は?消費税減税に積極的だった国政野党は?
- 減税を掲げる諸派が自民公約を批判。都議選後半、政策論争に期待
東京都議会議員選挙は27日、選挙運動期間では最初で最後の日曜日を迎えた。候補者たちは街頭で声を枯らし、SNSで選挙活動を精力的に発信しているが、その中身はコロナ対策やオリンピックが中心。各党の政策集もこの2つが目立っているが、読売新聞が告示日の朝刊社説で「コロナと五輪以外でも論戦を」と各党や候補者に求めたように、「当面の対策にとどまらず、コロナ後も見据えた政策を訴えることが必要だ」(社説より)。
ただ、読売社説でも少子高齢化や首都直下地震への対応は具体例に挙げたが、言及しなかったのが「減税」だ。ほかのマスコミも関心を持っていないため、ほとんど報じないが、実は今回の都議選は減税をめぐって異例ずくめの展開をたどっている。というのも、自民党が減税を看板に掲げているのだ。

自民党が異例の減税公約
自民党は「命を守る。東京を動かす。」のキャッチコピーを掲げ、感染症対策と経済の両立への決意をにじませているが、16の項目別でコロナ対応に次にあげてきたのが「減税で経済を再生する!」。具体的には「個人都民税を20%減税し、家計において自由に使えるお金を増やします!」「事業所得税50%減税し、企業が独自の取り組みに使えるお金を増やします!」と誓っている。
自民党は「小池旋風」が吹き荒れた前回の都議選で歴史的な惨敗を喫し、小池派の都民ファーストの会に最大会派の座を奪われたとはいえ、バリバリの国政与党。しかも、この都議選では都民ファが苦戦し、自民党が最大会派に返り咲く可能性が有力視されている。国政の消費税論議においては、すでにすべての野党が次期衆院選に向け、消費税減税を公約化する方針だが、自民党は連立与党の公明党ともどもいまのところ消費税減税には後ろ向きだ。前回は都民ファに加担した都議会公明党は今回は自民側と選挙協力に戻したが、こちらは高校3年生までの医療費無償化などは掲げる一方、都民税減税は記載していない。そうしたこともあって都議会自民党の減税主張は尋常ではない。
都民ファは?国政野党は?
これに対し、今回の選挙で自民党を「迎え打つ」側になった都民ファは政策集において、全国初の協力金設置など新型コロナ対策や、受動喫煙対策、待機児童対策で一定の成果をあげたことを振り返った上で、「改革は道半ば」と強調。議会改革のネーミングを、映画「シン・ゴジラ」を意識したような「シン・トギカイ」にするなど言葉遊びが目に付くものの、税金関連では、国が地方に分配するために都の税金を吸い上げる「偏在是正措置」の返還を訴えるなど、都民利益第一を強調。ただ、それでも都民税の減税は記載していない。
また、国政では消費税の減税を主張する勢力も、都議選の公約で都民税減税については明確に打ち出していない。4人の候補者を擁立する国民民主党は玉木代表が消費税減税をいち早く出したが、コロナ禍の子育て支援として地下鉄・バスなどの利用料金の無料化は掲げるが、減税にまでは振り切っていない。消費税に導入時から反対し、現在も減税を主張する共産党は、都議選の公約では、生活の苦しい人たちの支援策として、私立高校の入学金、施設費など授業料以外の負担軽減を訴えるが、伝統通り、減税よりは公負担の充実化による底上げ色が強い。
一方、消費税の減税を通り越し廃止論を過激に主張してきた、れいわ新選組は国への要求事項として消費税廃止や法人税の累進性導入による中小企業の負担減を掲げるが、意外にも都税には言及がみられない。
れいわとは対照的に、枝野代表が消費税減税に腰が重く、先ごろ衆院選での公約化をようやく打ち出した立憲民主党。今回の都議選で与党批判の受け皿として躍進を予想する向きは強いものの、「給付付き税額控除の導入」を国に要求するにとどまり、都政・都議会での減税アクションは記載がない。
日本維新の会の東京支部である東京維新の会は「財源確保のため一時的な都債発行後、東京メトロ株や都庁第二庁舎の売却・事業民営化等により、数年以内に同額分の歳出削減を可能とする」などを掲げ、減税というよりは得意の行革を推進することで間接的に都民の負担を軽減する考えのようだ。

問われる減税公約の現実味
ここまでくると、自民党の都民税減税公約が「一人勝ち」に見えるが、これを疑問視する勢力もある。マスコミ報道のカテゴリー上では諸派扱いになるが、「減税とうきょう」の飯田佳宏代表はツイッターで「増税しかしてこなかった国政政党の下部団体(失礼)が減税を叫び出し、政府の新型コロナ予算余ってるよアピール(それって必要なところに回ってないので自慢にならないと)」などと批判。所得割の30%均等減税を掲げ、「事業所税の減税はほとんどの中小企業に恩恵はない」などと主張していた。
都議選は126議席に271人が立候補中で、投票日は7月4日。仮に自民党が、小池都政の議会運営を揺さぶるほどの復調を見せた場合、今回の減税公約の成否が問われるかたちになるが、中盤からの選挙戦ではその妥当性や現実性を含めて徹底的に政策論争をしてほしいものだ。
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