不法滞在、選手村注文…話題のウーバーイーツの現場を撮った映画監督を直撃

自由に働ける一方、感染・テロへの懸念も
ライター
  • ウーバーイーツが書類送検。配達員をしながらドキュメンタリーを撮った監督を直撃
  • イギリスで配達員を“従業員”とみなす判決。日本でも書類送検を機に雇用化の流れ?
  • IOCが選手村から注文できるよう要望。「五輪会場に入れて良いのか懸念は当然」

不法滞在のベトナム人を在留資格を十分確認せず働かせたとして、ウーバーイーツが書類送検された。ウーバーイーツを巡っては、IOCがオリンピックの選手村でも利用できるよう日本側に打診していることも判明し、感染対策の見地から議論を呼んだばかり。そんな話題のウーバーイーツで、配達員として働きながらドキュメンタリー『東京自転車節』(7月10日よりポレポレ東中野ほか全国で上映)を撮影した青柳拓監督は、この件についてどう思うのか、話を聞いた。

青柳監督は現在もウーバーイーツ配達員の仕事を継続中(筆者撮影)

これを機に本人確認が徹底されて、同時に日本でも雇用化の流れが進んでいくのかもしれません」(青柳監督、以下同)

イギリスでは今年2月、配達員の権利保護という観点から、配達員をウーバーイーツの“従業員”とみなす判決が最高裁で下された。

イギリスとは違って、不法就労をなくすという目的で雇用化の流れが生まれるとしたら、興味深いですよね。これまでは、身分を偽って誰か分からない状態で働いている人すらいたわけですが、チェックは厳しくなるかもしれません

ただ、雇用されていない立場、すなわち個人事業主としての良さもあるという。

自由な時間に自分のやり方で働けるのは、有り難い部分もありました。雇用保険に加入したり、面接をしたりすれば、その分コストがかかる。そのコストは運営元か、配達員か、あるいは利用者の誰かが払わなければいけないわけで、それでビジネスとして成立するのかどうか、心配ではあります

そんな中、オリンピック開幕まで1か月の段階で、IOCが選手村から注文できるように大会組織委員会に要望していることも話題となった。ウーバーイーツでは酒の注文もできるため、選手村で無制限に飲酒や宴会が行われる可能性が指摘されるなど議論となっている。

酒を持ち込めないよう、選手村のスタッフが商品の受け渡しの際にチェックする仕組みが必要かもしれません。外国人はチップをくれる人が多い印象があるので、配達先が選手村になったら結構人気になるかもしれないですが

大会会場では、テロ対策などの懸念もある。

身分を偽ってどこの誰かも分からない人が働いていたことが、書類送検によって露呈してしまった。配達員を五輪会場に入れて良いのかという懸念が出るのは、当然だと思います。海外の人たちに日本の食事を楽しんで欲しいとは思いますが、感染対策やテロ対策などの課題がありそうです

世論調査で賛否が割れた中で、もはや予定通りに開催する流れの東京オリンピック。実施する以上は“安心・安全な五輪”が実現するよう祈るばかりだ。

 

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