国民年金免除・猶予“過去最多”報道に「先の年金より今の生活」の声

厚労省の数字の見せ方にも疑問
  • 厚労省が国民年金の加入・保険料納付状況を発表。全額免除・猶予者が過去最多
  • 発表文は納付率上昇を強調も、全額免除・猶予者がわかりづらい。報道で浮き彫りか
  • ネットも反響。「先の年金より今の生活」や世代間格差を嘆く声

厚生労働省は28日、令和2年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表した。同省は発表資料で年金の納付率の上昇を強調したかったようだが、報道各社は誘導に乗らず、資料での記載が小さい「全額免除・猶予者」を深掘り。資料には記載されていなかったが、基礎年金制度が導入された1986年度以降では過去最多の609万人にものぼったことを浮き彫りにした。新型コロナの影響を指摘するかたちで報じたことでSNS上は反響が大きくなった。

itasun/iStock

厚労省の発表資料には、納付率77.2%の数字を説明文のタイトルに記載し、「8年連続で上昇」「統計を取り始めた平成16 年度の最終納付率以降、最高値」などと喧伝したい意向をにじませる構成だった。しかし、コロナ禍の生活苦が予想された今回、全額免除・猶予者の実数の変化に報道各社は着目していたようだ。全額免除・猶予者は、「納付対象月数に占める納付月数の割合。全額免除・猶予者は対象月数や納付月数に算入しないため、結果的に納付率を下げる要因にはならなかった」(時事通信)。

厚労省がどこまで意図的だったかは不明だが、少なくとも納付率の上昇という数字だけを強調するのではコロナ禍の生活苦が浮き彫りにならず、資料の見せ方にも疑問を感じさせた。さらに資料に記載されていない平成26年度以前の数字も記者たちは取材して補足したとみられる。結果として、年金が現行制度になってから全額免除・猶予者の数が、過去最多となる609万人(前年は583万人)にのぼっていることが浮き彫りになった格好だ。

ネット上では午後になってツイッターで「国民年金」がトレンド入り。ヤフーニュースのコメント欄でも時事通信の記事が配信されてから6時間で2000近いコメント(午後4時時点)が書き込まれるなど一大反響となった。

ツイッターでは、

年金を支払って生活困窮。でも、老後に豊かな暮らしをさせてくれるのかと言うとそれもない。地獄。

先の年金より今の生活

といった書き込みもあったほか、ヤフーニュースのコメント欄でもっとも支持を集めたものでは「若年層は年収300万の人とか普通にいる」と指摘した上で、

そんな人達にも年金として年間20万支払わせるとかあまりにも酷だと思う。更に健康保険税でも20万以上持って行かれ、所得税や住民税でも40万以上取られるわけで。そんなんで結婚して子供作れって、一体何の冗談だろうか。

などと、低成長時代に年々開いていく世代間格差を嘆く声が支持を集めていた。ネット上では、年金制度の将来を危ぶむ声も続出していた。

 

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