宮内庁長官の「拝察」発言、民族派団体「一水会」代表はこう見る
天皇は“日本最強のインフルエンサー”- 宮内庁長官の「拝察」発言、民族派団体「一水会」の木村代表はどう見るか直撃
- 陛下がコロナ五輪懸念なら「自然な感情」。背景に政権のコロナ対応のまずさ
- ご都合主義の解釈はダメ。社会的影響力の大きさから陛下の言葉は慎み深い
宮内庁の西村泰彦長官が発した天皇陛下の「拝察」発言。民族派はどう捉えているのか。愛国団体「一水会」代表の木村三浩氏に今回の問題を聞いた。一水会は1970年に割腹自殺した三島由紀夫らの精神を継承すべく設立した団体。戦後体制打破や日米安保破棄、自主憲法制定を目指しているが、保守陣営内での論争の結果、2015年に「脱右翼宣言」を行い、現在は民族派団体として活動している。

自民党はたるんでいる
西村長官の発言が天皇陛下のお気持ちを“代弁”したとの見方が多いが、木村氏は今回の発言についてこう語った。
「現在のコロナ禍の状況で五輪をちゃんとやれるのか、天皇陛下が宸憂(しんゆう=天子が心配すること)、懸念されることは、常識的に考えれば自然な感情だと思います。“ちゃんとやってくださいよ”というメッセージが込められているのでしょう」(木村氏、以下同)
「拝察」発言が出た背景には、菅政権のコロナ対応のまずさがあると見ている。
「さんざん国民に自粛させておいて、五輪が始まるとなると、急にやれ観客を1万人入れる、酒類も提供するなんていう話が出て、私自身、憤りを覚えてましたよ。どうなってんのと」

この状況で五輪を開催して、本当に大丈夫なのか。これは多くの国民に共通する懸念事項といっていい。一水会は保守系の団体だが、自民党政権を全面的に支持しているとは限らない。是々非々で評価しているのだという。
「今の自民党は、たるんでいるわけですよ。反共産主義、自主憲法制定というベースの部分では、我々と自民党の考えは一致するけれど、コロナの対策を見ていると、国会議員や官僚が宴会したり飲み歩いたり、ワクチンも後手後手だし、飲食店を開けたり閉めたりとちぐはぐなことばかり。しっかりしろよと言いたいですよ」
“政治的発言”の線引きは?
天皇の言動が“政治的発言ではないか”と指摘されたのは、決して今回が初めてではない。
「上皇陛下が天皇に即位した30年ほど前には、朝見の儀で『日本国憲法を守り、これに従って責務を果たす』と述べられた。これも当時は、政治的発言に聞こえるのではないかという諫言(=目上の人への忠告)があったんです。生前に譲位されたことも、憲法や皇室典範には規定のなかったことで、いわば特例でした」
考えてみれば、国事行為としてトランプ大統領や習近平国家主席と面会したり、被災地を慰霊したりすることも、政治的な意味合いがゼロかと言われれば、そうではないだろう。「皇室は政治的発言はしない」というタテマエはあるが、あまり厳密に考えても無理が出るようにも思える。国民の大多数が違和感を感じないような内容であれば、天皇が様々な発言をすることは許容して良いのではないだろうか。
むしろ、発言を受け止める国民のほうにも、注意が必要だという。
「左寄りの人たちのなかには、『ほれ見たことか、陛下も五輪を案じているぞ』と言って、政府批判につなげようとする人もいる。そういうご都合主義の解釈は、すべきではありません」

今回は、改めて天皇陛下の言動の社会的影響力の大きさが体現された。
「敢えてカジュアルな言葉を使って説明すると、天皇陛下は“日本最強のインフルエンサー”なわけです。影響力が非常に大きいので、慎み深くお言葉を述べられる。今回は国民の気持ちを投影した形で、間接的にギリギリの方法で陛下のお気持ちが伝わった。特に問題はないと考えます」
だが、菅首相は発言はあくまでも「長官本人の見解」との認識を示した。
「首相という立場では、そう答えるしかないでしょうね。天皇陛下からお叱りを受けたとなれば、自分自身が否定されたことになりますから」
宮内庁長官の発言は少々踏み込んだものだったかもしれないが、コロナ禍での五輪開催に不安を抱いている国民が大多数を占めるなか、この発言を聞いて日本社会における皇室の存在感の大きさを再確認した人も多いのではないだろうか。天皇陛下の発言が“政治的”であるかどうかは、今後もケースバイケースで判断していくしかないのかもしれない。
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