フジマキは「増税論者」で「緊縮論者」なのか?

「日本が緊縮財政」は世界の笑い物
2021年07月03日 06:00
経済評論家、元参議院議員
  • 「増税論者」「緊縮論者」呼ばわりする人たちに藤巻健史氏が反論
  • 本来は「小さな政府論者」で「減税論者」。ただし国の巨大な借金問題がある
  • 「大きな政府&低い税金」論では「大増税」か「ハイパーインフレ」を招く
MarsBars/iStock

リフレ派とかMMTかぶれの人たちが私のことを「増税論者」とか「緊縮論者」のレッテルを貼ることあるがとんでもない話だ。私は「小さな政府論者」だ。

私は本来「減税論者」

米国には共和党と民主党の二大政党が存在するが、この二大政党は、日本の政党のようにイデオロギーで対立しているのではなく,「大きな政府」か「小さな政府」かが対立軸だ。「大きな政府」志向の民主党と「小さな政府」志向の共和党である。そのほか2010年11月の中間選挙で共和党大躍進の原動力となった、「より小さい政府」志向のティーパーティーも存在する。ティーパーティーの名は当時の宗主国英国の茶課税に対して反旗を翻したボストン茶会事件に由来しているが、「もう税金はたくさんだ(Taxed Enough Already)」の頭文字を取っているともいわれている。

このことからわかるように、というか、この例を持ち出すまでもなく、当然の話であるが、大きな政府を志向するならばその経費を賄うために高い税金を取らねばならないし、逆に、税金を低くしたいのなら政府は小さくなければ持続不可能だ。

国の最大の責務は「国民の生命と財産の安全を守る」ことだから、「小さな政府」論でも「真に援助を必要とする人達」には手を差し伸べるのが当然だ。しかし、自立できる人には「自助努力」を求める。結果、政府の出費が少なくなるのだから税金は少なくて済む。その意味で「小さな政府論者」の私は「減税論者」なのである。

ハイパーインフレという大増税

しかし、だからと言って、今、「減税せよ」と主張するのも無責任だ。バブル崩壊以降のバラマキによってすでに膨れ上がってしまった1212兆円もの巨大な借金を返さねばならないからだ。

作ってしまった道路を壊してもお金は戻ってこないし、ばらまいてしまったお金を、もらった人から回収することも出来ない。だから借金解消には、現実問題として大増税しかない。だからこそ、この段階で他の借金返済方法を明示せずに「減税」を主張するのは無責任だというのだ。

fatido/iStock

自民党のよくいう「経済を成長させて財政再建をする」も全くの夢物語だ。名目GDPが1990年度の529兆円から2020年度は536兆円とちっとも増えていない。したがって税収もまったく増えていない。それなのに歳出だけが急増していったのが日本の現状だ。この40年間で段トツのビリ成長をしていた国が突然変異し、税収が短期間に数倍に増えるなど現実問題として考えにくい。

だとすると、大増税をしないのなら、ハイパーインフレという形で借金を踏み倒すしか選択肢はない。大増税が嫌で、逆に減税せよというのなら、ハイパーインフレという借金踏み倒し確率が高くなるだけの話だ。

なお、ハイパーインフレとは債権者である国民から日本最大の債務者である国に実質的に富が移行するので、「借金踏み倒し」であるが、「大増税」ともいえる。

要は、ここまで借金が溜まってしまったら、借金返済には、消費税を主力とした大増税か、またはハイパーインフレという大増税しか手段は無くなってしまうと言っているだけで、私が増税主義者であるはずがない。

「大きな政府&低い税金」という耳に心地よいコンビネーションはいつまでも続ければ、いずれ「大増税」か「ハイパーインフレ」というツケを払う形になるぞ、と警告し続けてきた「小さな政府&低い税金」の「小さい政府論者」の私を「増税論者」というのは、どんな思考経路をしているのかと不思議でならない。

「日本が緊縮財政」のトンデモ論

ところで、「小さな政府論者」の私を「緊縮論者」と非難する人や、日本の現状を「緊縮財政」という人もいるが、これもとんでもない話だ。世界の経済界では「借金が溜まってしまった」国のことを放漫財政国家という。それなのに世界ダントツに財政が悪化している国のことを「緊縮財政国家だ」などと言ったら、世界中の笑いものだ。

財政出動の額が大きいか否かが緊縮か放漫かの定義ではない。税収との見合いで健全か放漫かが決まる。財政支出が大きくても、それに見合う税収を得ている(高税金国家)国は健全財政国家だし、財政支出が少なくてもそれに見合う税収を取れていないのなら放漫財政国家だ。

日本はバブル崩壊以降、財政支出が大きいのに、それに見合う税収を得てこなかったから借金が世界一たまってしまった。だから日本は世界一の放漫財政国家なのだ。ピリオド。

Gomaabura/Photo AC

“社会主義国家”ニッポンの失敗

私のtwitterに「日銀インフレ目標にすら届かない財政の何処が放漫か是非お聞かせ願いたい」という質問があったが、これは屁理屈の何物でもない。「財政が放漫か否か」は「日銀インフレ目標に届いているか、いないか?」では判断など出来ない。前述したように「借金が溜まっていく財政運営」であれば「放漫財政」、「税収と歳出のバランスが取れて、将来世代に借金返済を押し付けない」財政ならば「健全財政」なのだ。

政府の財政支出が足りないと思うのなら、「増税論者」として増税を一緒に唱えねばならない。どんなにバラマキを増やしても大増税をして均衡財政を保っているかぎり、「放漫財政国家」とは呼ばれない。

もっとも「小さな政府&少ない税金」を理想と考える私は、日本がそうなってしまったら「健全財政」だからと言って是とはしない。

ここまで借金が巨大になった以上近き将来Xデイが起きざるを得ないと思っているが、ガラガラポンの後は「小さい政府&少ない税金」で経済を大回復させなければならない。日本が40年間で世界段トツのビリ成長しかできなかったのは、この大きい政府に象徴される“社会主義”体制(=大きな政府、規制過多、結果平等税制)だったからだ。社会主義国家が衰えるのは歴史が証明している。

経済評論家、元参議院議員

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