中国共産党100年、都内では“追悼集会”が行われ警察沙汰に
デモ行進を見ていた日本人は微妙な反応- 中国共産党100周年当日、弾圧による犠牲者を追悼するイベントを取材
- イベント中に大声を叫ぶ人もいて警察が出動するトラブルも
- 過去のデモ取材にない緊迫感。香港問題で「中国VS反中国」深刻化か
7月1日、東京・新宿区で「中国共産党結党100年―すべての犠牲者を追悼する集会―」が行われた。香港、ウイグル、南モンゴルなどの地域の出身者やその支援者らが開催したもので、中国共産党を支持しない立場の人々が集結した。イベントは室内での追悼集会と、屋外でのデモ行進の2本立てで行われた。

14時から行われた追悼集会に行ってみると、雑居ビル内の広めの会議室にメディア関係者も多数集まっており、廊下にあふれるほどの盛況ぶりだった。おおよその目算だが、参加人数は50人ほど、メディア関係者も20〜30人ほどだった。
私(筆者)は廊下から集会の様子を眺めていたが、中国共産党への非難を述べる挨拶が行われたあと、会場の前方でお坊さんたちが読経を始めた。どういう人たちだろうかと思ったら、「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会『スーパーサンガ』」という団体の僧侶たちだった。中国のチベット統治に反対しているのだという。
漠然と会場を眺めていると、黒いキャップを被った小柄な男が突如立ち上がり、机を叩いてこう叫んだ。
没有中共、就没有新中国!(=中国共産党がなければ、今の中国はない!)
これは中国共産党を礼賛する際の決まり文句で、同様のタイトルの革命歌もある。“新中国”は、1949年に成立した現在の中華人民共和国を指しており、男性は中国共産党を全肯定する言葉を発したことになる。
会場の視線が一気に集まると、男はそのまま会場の外へ出ようとした。が、周囲はそれを止め、一時揉み合いのような状態に。
誰か警察呼んで!
と声がするのとほぼ同時に、中肉中背の男性が立ちはだかり、男を押さえつけた。「警察。何やっているの? 動くな! 身分証は?」と言っていたので、私服警官だったようだ。

「大声出して集会の妨害したよね? ちょっと話聞かせてもらえる?」
押さえつけながらそう諭すが、男は執拗に逃げようとする。メディア関係者は一定の距離を保ちながら背後からカメラを向けていたが、男の力は思いのほか強いようで、何度か逃げられそうになる瞬間もあり、見ていてハラハラさせられた。しばらくすると警察関係者が集まってきて、取り押さえられた。
その後、会場入り口でなかの様子を見ていたら、またも妨害行為が発生。わあわあと騒がしく、誰かが誰かにチラシを投げつけているように見えた。その後、5人ほどの男が警察に連行されて行った。どんな妨害があったのかと会場内にいた人たちに聞くと、「そんなのウソだ!」と日本語で大声を発していたという。
いつになく荒れた現場
私はこれまで、日本国内で行われたこうした中国政府を非難するイベントを何度か見ていたが、これほど荒れた場面は初めてだった。結党100周年という節目であり、中国人の“愛国心”がとりわけ高まっていたこと、香港ではリンゴ日報の強制的な廃刊があり、対立が深まっていたことなどが背景にあるのかもしれない。

夕方18時半から新宿中央公園を起点に始まったデモでは、行進前に赤いシャツを着た中国人グループと対峙。両者の間に警察が隊列を組んで、牽制する場面があった。
「熱烈慶祝 中国共産党成立100周年」
と書かれた横断幕や中国国旗を掲げた人々が、中国国歌「義勇軍行進曲」を大声で歌唱。人数は、20〜30人ほどだろうか。中国側の人々は、2時間4000円で動員されたとの情報もあり、ネット上では募集投稿が出回っていた。中国側の人たちに、声をかけてみた。
「どういう感じか、興味があって来てみました」
「中国は自分たちにとって父親、母親みたいなものだろ? 浮気できないよ。彼ら頭おかしいと思うよ」
小雨のなか、デモは1時間ほどかけて新宿の繁華街を行進。途中、デモを眺めていた日本人の通行人にも声をかけてみたが、反応は一様に鈍く、回答が得られない。首を横に振られるばかりだった。
「期待しているようなコメントはできないと思うので」
と答えた男性がいたので、「どんな回答でも構わないんですが!」と続けたが、足早に立ち去られてしまった。予備校帰りだという男子高校生が辛うじて返答してくれた。
「これって共産党が何か主張しているんですかね? いや逆か。中国共産党に反対しているんですかね?」
デモ行進といえば共産党、というイメージがあるのかもしれない。確かに、街中で見かけるデモというと、原発反対や改憲反対など、どちらかというと左翼的思想のものが目立つのかもしれない。

「日本人に言われても、っていう感じもあるんですよね。麻布の中国大使館の前とかでやるなら分かるんですが」
表情には戸惑いの色が見えた。「多くの日本人にも知ってもらい、国際社会から中国へ圧力を加えて欲しいという狙いがあるみたいです」とデモ主催者の考えを敢えて代弁して伝えたが、うーん、という微妙な反応だった。
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