なぜあの人は特別なことを話さないのに、営業で結果を出せるのか?

重松和佳子『人生が変わるクリエイティブ営業術!』#3
外資系生命保険会社 営業所長、THE SWITCH編集長
  • 売れる営業と振るわない営業の違いは?同じ商品を売るのになぜ結果が違うか?
  • テクニックも重要だが、「この人は信頼できそう!」と思わせる何か
  • 筆者の結論は「自信」。実際にあった出来事から学んだこと

私はこれまで13年にわたり、売りにくい商品の代表と言われる保険の世界で100人以上のトップセールスパーソンと言われる人たちを見てきました。売れる営業と成績が振るわない営業の違いは何だと思われますか?同じものを売っているのに、全く成績の異なる人が存在するのは何が違うのでしょうか。

専門知識?ヒアリング力?クロージング力?愛嬌?ロジカルシンキング?
上に出した力はどれも必要です。私も新人にこれらをそれぞれ何十時間もかけて教えます。理論もテクニックも存在します。

しかし、私が出した結論は違います。「自信」です。自信という言葉を辞書で引くと「自分の能力や価値を確信すること、自分の正しさを信じて疑わない心」とあります。(広辞苑第6版)ここの解釈は私は少し異なるので、この辺りも含めお話ししていきたいと思います。

kazuma seki/iStock

なぜ「信頼できそう」と思われるか

営業が強い会社には、新人が最初に覚えるスクリプト(台本)があるでしょう。ロープレを繰り返し、現場で実践を重ねることで、上手に話せるようになると思います。私の所属する会社はトップセールスパーソンにロープレを見せてもらったり、彼らの営業に同行して学んだりもします。若手は、売れる人の「話す内容」を、ロープレ版も現場版も手に入れ、内容を文字起こしして練習します。しかし、なかなか思うように結果が出ないことが多いです。それは何故でしょうか。

トップセールスの人はもちろん、話の切り返しや質問が長けていたり、笑わせる力があったりするのですが、びっくりするほど「特別なことはしゃべっていない」ことに、若手がびっくりすることが多いです。元となるスクリプト(台本)にそんなに違いは無い。つまり、ほとんど同じことを話している。もちろん経験が違うので、深い話や細かい話ができるのは事実ですが、お客様と初対面でお話しする最初の30分の話はほとんど同じです。それなのに、「この人は信頼できそう!」と思わせる何かがあるのです。だからお客様は困りごとや本音をポロッとお話ししてくださる。そして提案の機会に恵まれ、ご契約に結びつくのです。

実際に私の例ですが、保険の営業を始めて半年位の頃にお断りをされたM様という少し年上の男性がいらっしゃいました。その時は「話はわかった。でも、いらない」と言われました。でも2年後、再度アプローチをしたところご契約いただくことができました。その時に私は聞きました。「なぜ今回はご契約くださったのですか?」M様からの答えは、意外なものでした。

だって2年前は「私が一生担当します!」って言ってたじゃん。嘘だと思った。今回俺聞いたよね、「一生担当してくれんの?」って。その時なんて言ったか覚えてる?「それは分かりませんね、私が先に死ぬかもしれないし、辞めたくなくても辞めなきゃいけない事態が起きるかもしれないし」。それ聞いて、こいつ嘘つかなくなったなと思った。

M様とのこの出来事から学んだのは、人は虚勢を張ったり完璧を装ったりすると信頼から遠ざかるということです。虚勢を張るのは自信がないからで、自信の無さを繕っているとお客様にバレる。人は胡散臭いものを拒絶します。営業パーソンが自信を持っているから、お客様は安心して信頼するのではないでしょうか。

では自信とは、なんでしょう。営業に必要な自信は、大きく3つあります。
(続きはあす掲載します)

 
外資系生命保険会社 営業所長、THE SWITCH編集長

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