熱海・土石流のメガソーラー影響説、調査主張の細野議員を直撃
「林地にメガソーラー設置反対」の理由- 熱海の土石流被害で一時メガソーラー原因説。調査主張の細野豪志議員に聞く
- 細野氏「直接の原因は盛土だが、おかしくない。山の保水力失い、川の水増す
- 函南地区の例では土砂流出の危険性指摘も、県はなぜか林地開発許可を出した
静岡県熱海市伊豆山の土石流被害では、住宅街が大きな被害を受け、今も警察や自衛隊による行方不明者の捜索が続いている。静岡県は調査の結果、幅100メートル、深さ最大10万立方メートル以上の大規模な崩落が起きていたことを明らかにするなど、この土石流の発生地点が判明しつつある。発生地付近には、盛り土された造成地があったが、この盛り土がほぼ全て崩落していたことが確認された。
直接の原因でなくとも保水力が…
盛り土は10年間で約5.4万立方㍍も土が盛られていたことが、県の調査で判明している。広さは東西約60メートル、南北約200㍍。高さは最大15㍍と巨大なもので、崩落した土の約半分が、この盛土であるといわれている。現時点では、この人口的に積まれた大量の盛土が崩落の出発点となり被害を甚大化させていたのではないかといわれている。
当初には、崩落現場の近くにメガソーラーがあったため「メガソーラーが崩落の原因ではないか?」という声もあった。結局、崩落の起点となった盛土の場所とは、少しずれており、いまのところ、直接の原因ではなかった可能性が高い。とはいえ、何れにせよ開発によって、山林が伐採されているわけで、これらは総じて、森林の保水力を失わせ、災害につながる原因になりうる。いま静岡県では、山林を伐採する大規模メガソーラー建設計画が多数進められているという。
「今回の熱海市での崩落事故の直接の原因は、盛土が問題だったのしょう。しかしそのすぐ近くにメガソーラーもあった。地盤を弱くしたことの一因として、メガソーラーの影響があったとしても、おかしくはありません。メガソーラーが存在すると、山の保水力が失われ川の水が増すからです」
そう語るのは、静岡選出の衆議院議員、細野豪志氏(無所属)だ。元環境相としても知られる細野氏は、今回の事故で、メガソーラーの影響についても調査していきたいと話す。細野氏は、崩落があった熱海市に隣接する函南町を選挙区にしているが、この地で進む大型開発案件の大規模メガソーラー計画に、水害防止の観点から反対をしている。
「静岡県内には多くのメガソーラーが存在します。私の選挙区である函南(かんなみ)町も超大型の設置計画がありまが、水害リスクの観点から、開発に反対してきました。面積65ヘクタール(東京ドーム13個分)のうち、31ヘクタール分がメガソーラーという超巨大なものです。私は基本的には、平地や家の屋根などにメガソーラーを設置すること自体は賛成しています。けれども、林地にメガソーラーを設置することだけは良くないと反対をしているのです。それまで森林だったところをわざわざ切り拓いて開発するのですから、その地域の保水能力が落ちるのは明らかです」
隣の函南地区では県の認可体制が問題
ここ数年、日本全国で、ソーラパネル設置場所が原因となった災害が多数発生してきた。それに基づき、2019年に林野庁は開発行為の許可基準を大幅に厳格化したが、すでに県から林地開発許可がすでに出ているメガソーラーには、適用されることがないという。
「函南地区のメガソーラーの開発許可で問題だと思うのは、業者と河川の管理をする函南町と県で本来行うべき“河川協議“が行われていなかったことです。メガソーラーが存在すると、山の保水力が失われ川の水が増えることになりますが、この水の管理をする函南町と県、そして業者が協議して、大丈夫だということが確認されないかぎり、県は開発許可を出すべきではないのです。それなのに、なぜかそのことが行われていなかったのです。これは森林法の趣旨にも反しているのです。
業者側は、窓口で話したことが協議だったなどと主張していますが、通常そういうことを協議とは言わないものです。自治体によって、協議の定義を明確にしているところと、そうでないところがあるのです。結局、開発を反対されたくない業者としては、当然そうした“緩い”自治体を狙ってきます。
2019年10月、台風で狩野川がありましたが、あと18センチで川は決壊していたと言われています。森林審議会の議事録でも、事前に下流域への土砂の流出の危険性が指摘されていた。なのに、県はなぜか林地開発許可を出したのです。林地の開発許可はそもそも、「水害の防止」が要件になっています。本来、大丈夫であることが確認されない限りは、許可を出してはいけない。私は、審議の手続きに問題があると思っています」(同)
今回の熱海市の土石流事故の起点地域の開発許可の経緯は、まだ明らかになっていない。よって、函南のケースと同じだとはいえないが、こうした乱開発を許す大規模開発の認可体制の“緩さ”が、人命も奪う災害を招いているのだとしたら、大変憂うべきことではないだろうか。
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