「長すぎる梅雨」…続く異常気象の背景に「ミニ氷河期」突入説も

原因は「温暖化」だけなのか?
2021年07月10日 14:00
ジャーナリスト/SAKISIRU副編集長
  • 熱海など土砂災害をもたらす「長すぎる梅雨」。異常気象の要因は何か?
  • 「偏西風の蛇行」の可能性指摘。識者「地球温暖化ではその説明はつかない
  • 地球が寒冷期に入ろうとしている説が注目。事実なら、飢餓や社会不安も

連日続く日本の悪天候。熱海市の災害に続き、広島県三原市も大雨で線路が水没し、市は命の危険に関わるとして最高警戒レベルである「緊急安全確保」を発令した。三原市は3年前の西日本豪雨災害でも、豪雨で被害があった場所だ。

今年は西日本を中心に梅雨入りが早かったが、偏西風が北に押し上げられたことが原因だといわれている。特に中国地方では平年よりも22日も梅雨入りが速かったのだが、これは、1951年から記録を取り始めて以降、最も早いという。更に今年は梅雨明けも遅れるといわれており、現在、梅雨明けしたのは沖縄くらいで、これも平年よりも11日遅いという。今年の「長すぎる梅雨」の原因はなんだろうか。

島根県の被災地に入った自衛隊員と災害救助犬=防衛省・自衛隊(災害対策)ツイッターより

長過ぎる梅雨「偏西風の蛇行」が原因か

この今年の日本の長すぎる今年の梅雨の原因について、気象庁は「偏西風の蛇行」が原因との可能性がある、と説明している。偏西風の蛇行とは、世界中でおきている現象で、偏西風の蛇行とは、通常なら、北半球の西から東に吹きぬける偏西風が、不自然に南北にうねって蛇行する現象のことだ。近年、蛇行ぶりが激しくなっており、各地の気候として、似つかわしくない天候が突然訪れる現象だ。偏西風の蛇行は、豪雨だけではない。昨年の記録的な暖冬も、偏西風の蛇行でも起こっている。

また先日、カナダ・リットンで記録した49.5度という局地的な超高温も、同様に「偏西風の蛇行」が原因だと気象庁は発表している。異常気象が我々の“日常”になっている。この現象が国内外で毎年のように起こるたびに、説明されているのが偏西風の蛇行だ。

説明されていない異常気象の理由

では、こうした「偏西風の蛇行」はなぜおきているのか。

経済産業研究所上席研究員の藤和彦氏は語る。

2010年代以降、世界各地で毎年のように異常気象が起こっているのは確かなことです。昨年はロシア・シベリアで10万年に一度の猛暑が起こりました。中国も昨年は豪雨に苦しみましたが、今年も同様に豪雨が続いています。こうした毎年の異常気象について「地球温暖化」が関係するのではないかといわれていますが、実際には直接の原因は「偏西風の蛇行」が起きているからです。南北に蛇行することで、温かい地域が寒くなったり、寒い場所が猛暑となったりするのです。

毎年のように “歴史的な”異常気象がおきるたび、気象庁は「偏西風の蛇行」原因だと説明しますが、そのメカニズムまで説明することはありません。もちろん完全に解明されていないからですが、すくなくとも、よくいわれる地球温暖化ではその説明はつかないのです。(以下同)

異常気象は地球の寒冷化を示している

温暖化が蛇行の原因でないとすれば、考えられるのは何なのだろうか。藤氏は、近年の太陽活動の低下から、地球が寒冷期に入ろうとしている説に注目している。

地球が寒冷化している過程で異常気象が起きることは、すでに知られていることなのです。チェコの気象学者J・ブッカは『太陽活動が低下すると、偏西風が蛇行する』という論文を1998年に出しています。地球が寒冷期に向かっている時、気候は不安定になりやすいのです。

近年、太陽活動は低調で、昨年は太陽の無黒点状態が100日以上続いた。黒点は太陽活動の活発さを示すもので、黒点が無いということは太陽の活動が低下していることを示す。「アメリカの研究では、すでに今の太陽は200年前の低活動期と同様の動きをしている」と言われているように、太陽の活動が低調であることは事実なのです。地球の歴史上、今までの穏やかな気候だった間氷期は、すでに終わりを迎える時期に来ているのではないかという説がありました。実際に、太陽の黒点は減っており、太陽活動の低下や気候が不安定になっている現実を鑑みると、すでに小氷期(ミニ氷河期)に入りかけている可能性が、考えられるのです。

地球はミニ氷河期へ!?

太陽活動が弱くなる現象とは「グランドミニマム」とよばれるもので、ミニ氷河期ともいわれている。太陽活動が低下すると、磁気が低下し、黒点も少なくなり、地球に到来する紫外線も少なくなる。この時期には、地球の平均気温が低下し、涼しくなるといわれている。

2015年、王立天文学会で発表された英国の研究者は「今後15年で太陽の活動が60%も減衰する」ミニ氷河期に突入すると話題になった。その後、様々な研究者が指摘しており、早い説では2020年から、遅い説では2030年ころから地球はミニ氷河期に突入するといわれている。

福井県に水月湖の“年縞”と呼ばれる堆積物から7万年の気候変動の記録を研究している立命館大学古気候学研究センター長の中川毅先生は、現在の異常気象の常態化は、氷期に突入した兆しかもしれないと指摘されています。

espiegle/iStock

歴史的に、太陽の黒点が出ない時代は寒冷化するということがわかっている。過去のミニ氷河期では、マウンダー極小期(1645年から1715年)と、ダルトン極小期(1790年から1820年)が記録に残っている。太陽の黒点がほとんど発生していない。その時期のことは「小氷期」と呼ばれ、ロンドンのテムズ川が凍ったというエピソードがよく知られている。日本では江戸時代に該当するが、1780年頃は、両国川や浅草川が凍ったという記録がある。

この江戸時代の太陽活動低下期には、日本は湿潤だったことが最近の研究でわかっている。マウンダー極小期に該当する江戸時代初期の老木の年輪を解析した東大大気海洋研究所の横山祐典教授らの研究によると、当時は、周期的に雨が多い湿潤な気候だったという。他にも、2度の極小期で京都の平均気温は2.5度低かったとか、天命の大飢饉では夏の海水温が1.5度低下していたなどという研究がいくつもある。

事実太陽活動が低下しているので、過去の寒冷期と同様に寒くなっていく可能性があるわけだが、今の時代が、これらの過去と大きく違うのは、同時に地球温暖化も進んでいることだ。メカニズムはそれぞれ異なるが、寒冷化と温暖化が相殺しあって、寒冷化を遅らせているのかもしれないという説あるようだ。

寒冷化が事実なら、飢餓や社会不安も

地球がミニ氷河期(小氷期)を迎えているという説が事実であるとすれば、気になるのは食糧問題だ。

仮に地球の気温が2度低下すれば、大規模な飢餓が発生する可能性があります。過去の極小期でも、農作物の育成状況が悪くなって、世界中で飢饉が起こりました。その結果、日本では重なる一揆が起こりました。フランス革命が起こった原因も飢餓が原因となっています。(同)

我々が生きている間に、ミニ氷河期を迎えようとしている可能性があることはショックでもある。今の異常気象とともに食糧問題なども起これば、社会不安が増すことは間違いないだろう。寒冷化は、今の時代を生きる者の願望としては、できれば事実であってほしくはない説だが、近年の異常気象が日常化している実態や、なにより太陽の活動が低下していること、偏西風が蛇行していること、それぞの紛れもない事実をひとつづつ並べてみると、その可能性も否定できないだろう。

 

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