ビットコインはオワコンか?皆がスルーする暴落と4つのリスク

勝ち続ける投資家が考えること
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役
  • 若者がYouTubeで投資を始める時代。伸びてきた仮想通貨に潜むリスクとは
  • 株式の10倍の変動幅、中国企業による排除…4つの危険性や問題点を筆者指摘
  • 仮想通貨の未来が暗いのではなく熱狂は危険。リターンとリスクはワンセット

少し話は変わりますが、日経マネーが実施した2万人近くの個人投資家に対するある調査結果が先日、発表されました。それによると、まだ投資をはじめたばかりの初心者が今一番参考にしているのが、人気YouTuberの番組ということでした。とても時代を表していると思いませんか。私が投資を始めた21年前は、参考になるのは投資雑誌か、四季報ぐらいでした。あるいは、ネット上で会員を勧誘している怪しげな投資塾だったわけです。

それがいまやYouTubeの番組で投資をはじめたり判断の参考にしているというのですから、時代も変わったものです。

※引用先:日本経済新聞社「投資を始めたきっかけは人気ユーチューバーがトップ

若者が熱狂する新しい時代の投資方法とは

ただ、文字より動画のほうがわかりやすいのは事実です。私は最近、在宅のために自宅のデスク環境を整えています。このときワイドモニターの購入やコード類の収納方法の参考にしたのは、本や雑誌ではなく動画でした。なにより、かくいう私も13万人のチャンネル登録者を持つ投資系ユーチューバーでもあります。これも、昨今の投資ブームを如実に表しているといえるのでしょう。

そうした投資ブームやユーチューバーたちの影響力を背景に、昨今勢いを伸ばしてきた投資対象がありました。仮想通貨です。なかでも、ビットコインは代表格としてメディアでもさかんに取りざたされてきました。

ただ、仮想通貨は変動幅が高く、さらにイーロン・マスクが自社のテスラ車の購入にビットコインを使うことをいったん停止したことで、大きく急落しました。これにより、大きく損失を出した人や退場を余儀なくされている人も多いと聞きます。

※引用元:ビットフライヤー

そこで、ここからはあくまで私の私的な見解となりますが、ビットコインのあまり語られてこなかった4つのリスクや問題点について述べていきたいと思います。

仮想通貨に渦巻く強欲とリスク

私が感じるところでは、仮想通貨に熱狂しているのは、主には若者が多い気がしています。仮想通貨がハイリスク・ハイリターンであること、その先進性やフィンテックという言葉に代表される目新しさが、多くの若者の共感を呼んでいることは間違いありません。

さらに、若者が仮想通貨を選ぶもう1つの理由が、少額で始められるという点です。最初は数百円程度から購入できることもあり、遊び感覚で始めてしまい、みるみるうちにギャンブル性のとりこになっていくという深刻な問題が、実は今、水面下で起きています。

そうした社会的な背景を踏まえて、私なりにビットコインの4つの危険性や問題点をまとめてみました。もちろん、仮想通貨全般を否定するつもりはありません。ただ、これらを知って投資をするのとでは、やり方もリスクの取り方も変わってくると確信しています。では、いってみましょう。

まず、最初の1つ目のリスクですが、ビットコインには株式投資の10倍近くの変動幅(ボラティリティ)があります。こちらは5年間ほどのビットコインのチャートです。

※引用元:coinpost

とくに昨今はビットコインブームであり、急騰に次ぐ急騰でした。これだけを見てしまうと、その華やかなリターンに心を奪われ、つい自分のリスク許容度以上に投資をしてしまう、ということが起きてしまいます。利益だけに支配されてしまうと、この変動幅のリスク(ボラティリティ)が逆に動いた時の怖さに気づきにくくなってしまうわけです。

しかし、ビットコインの変動幅が大きいというのは、上げ下げどちらにも言えることです。私が最近、首をかしげたくなることに、「ビットコインは半減期があり、通貨量が頭打ちになるので、価値が下がることはない」という理屈です。難しいことはここでは割愛しますが、つまり年々発掘される通貨の量が減っていくようプログラミングされているため、価値は下がるどころか、ダイヤモンドのように、ますます希少性が生まれていくのだというものです。

もちろん、天才的なプログラマーが作った代物でしょうから、そうした対策が事前にされていてもおかしくはありません。ただ、そこには、ビットコイン以外の、いやそれ以上の利便性や希少性を兼ね備えた別の仮想通貨や国家通貨の誕生には触れていません。

リターンとリスクは常にワンセット

実は現在、世界には5,000近くの仮想通貨があると言われています。これは、日本における上場企業とほぼ同じ数です。そうした中で、イーサリアムなど、ビットコインに引けを取らない通貨も誕生し始めています。これでは、いくら通貨量が減っても、希少性が高まると断言するのは難しいでしょう。

さらに、2つ目のリスクの要因として、中国企業が仮想通貨の排除を決めたことです。これは、大きな問題です。このニュースだけで、ビットコインを調整局面に陥れました。私の考えでは、中国は自国通貨をドルに対抗する世界基軸にしたいのだと思います。デジタル人民元に、世界に先駆けて踏み切る可能性もあります。それを成功させるためには、競合する他の仮想通貨が目障りとなってもおかしくありません。

Cemile Bingol/iStock

加えて、通貨としての信用力はどうでしょうか。たしかに、次世代の新しい通貨軸として、あるいは資本主義の自由の象徴として捉える方も多いことは知っています。

今のドル建てのルールが、自由主義の正しい在り方だと信じているわけでもありません。しかし、一方で、これだけ変動幅(ボラティリティ)が高い通貨が、はたして世界の基軸通貨に取って変われるかというと、私ははなはだ疑問が残ります。
実際変動が高ければ、昨日スーパーで買えたリンゴが、明日には1000円でも買えない、ということが平気で起こってしまいます。

そして、最後の4つ目が、ビットコインをはじめとする仮想通貨がマネーロンダリングやネット犯罪に立て続けに利用されている点です。

実際、ランサムウェアによるサイバーテロが頻繁に起こっていますが、その身代金として、ビットコインでの支払いを求められるケースが増えています。世界最大の米国食肉企業が攻撃を受けて、1100万ドル(約12億円相当)の身代金を支払い、データの流出を抑えたというニュース。そうした際に、ビットコインなどの仮想通貨が使われた背景には、換金のしやすさ、資金洗浄(マネーロンダリング)のやりやすさ、などが挙げられます。これらを問題視して、今後は米国、英国などによる仮想通貨への法整備が始まってもおかしくはありまん。

これらを含めても、ビットコインにあまりに熱狂してしまうのは危険です。決して、仮想通貨の未来が暗いといっているわけではありません。ただ、多くのリスクや不安要素が存在していることは、知っておいた方がいいでしょう。

特に強調したのは、リターンとリスクは常にワンセットだということです。今回は以上となります。

 
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役

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