東京オリンピック、最終聖火ランナーは誰だ?#1

過去大会から浮かぶ「最終日走者」6つの特徴
2021年07月15日 06:01
ジャーナリスト、大和大学社会学部教授
  • 間近に迫るオリンピック開会式の聖火ランナー最終走者を予想する
  • 近年の大会から最終日のランナーは「6つの特徴」が浮かんでくる
  • 64年大会は原爆投下の日に広島で生まれた坂井義則さん。今回は…

新型コロナウイルス禍で1年延期となった東京オリンピックの開会式が7月23日、国立競技場で行われる。昨年、ギリシャ・オリンピア遺跡で採火式が行われた聖火は全国各地をリレーでまわり、いよいよ最終段階に入っている。開会式での点火式は祭典のクライマックス。栄えある最終聖火ランナーは誰になるか、近年の傾向や経験則をふまえ、ここで予想してみたい。様々なポイントを考慮すると、有力候補として浮上したのはあのスター選手だった。

mustafahacalaki/iStock

五輪開会式で、メーン会場の聖火台に火がつけられる点火式は毎回、世界中の人々が注目する。しかし、最終ランナーは誰になるのか、そして、点火方式はどのようになるのかは当日までトップシークレットであり、巷の予想にも花が咲く。

毎回、スタジアム内では数人のランナーが走り、最終ランナーにトーチを渡すことが通例。まずは、2008年北京大会から16年のリオデジャネイロ大会に至るまで、リレーの最終日に誰が選ばれたかを示し、近年3大会からどんな傾向にあるのかを紹介したい。 (★は夏季五輪出場経験がない選手を表す。)

【2008年北京大会】(最終日リレーは8人)
❶許海峰(射撃、金2メダル2、中国初の金メダリスト、当時51歳)→❷高敏(女子飛び込み、金2メダル2、同37歳)→❸李小双(体操、金2メダル6、同34歳)→❹占旭剛(重量挙げ、金2メダル2、同34歳)→❺張軍(バドミントン、金2メダル2、同30歳)→❻陳中(女子テコンドー 金2メダル2,北京大会にも出場、同25歳)→❼★孫晋芳(女子バレーボール、同53歳)→最終⑧李寧(体操、金3メダル6、同45歳)
【2012年ロンドン大会】(最終日リレーは10人)
❶★ディビット・ベッカム(サッカー、世界的スター選手、同37歳)、★ジェイド・ベイリー(女子サッカー、同16歳)→❷スティーブ・レッドグレーブ(ボート、金5メダル6、5大会連続金メダリスト、同50歳)→最終❸★デイズリー・ヘンリー(陸上)ら当時16~19歳の10代若者7人
【2016年リオデジャネイロ大会】(最終日リレーは3人)
❶★グスタボ・クエルテン(テニス、元世界ランキング1位、同40歳)→❷オルテンシア・マルカリ(女子バスケット、銀1メダル1、同57歳)→最終❸バンデルレイ・デ・リマ(マラソン、銅1メダル1、同46歳)

浮かんでくる6つの特徴

近年の傾向を見ると、最終日のランナーに選ばれる選手は次の6つの特徴がある。

  1. 過去の五輪での複数のメダルを獲得している
  2. その国のスポーツの発展に貢献している
  3. 五輪経験がなくても、知名度があり世界的スターである
  4. 現役引退直後の30~40代が多い
  5. 同一種目からは2人は入らない
  6. 現役選手はごくまれ

さらに、近年の冬季五輪の状況をみても、傾向はほぼ同じ。ただ、2010年バンクーバー大会(カナダ)でのアイスホッケー界のレジェンド、ウェイン・グレツキー、14年ソチ大会(ロシア)での女子テニス元世界ランキング1位、マリア・シャラポワのように③の特徴を持つ選手が目立つ。また冬季大会のランナーには夏季大会での五輪選手も登場している。

今回の東京大会は、復興五輪と位置づけている。聖火リレーが福島県から始まったのも世界に東日本大震災からの復興をアピールするためだ。戦後復興と銘打って行われた1964年の東京五輪では、広島で原爆が落とされた日に広島県で生まれた坂井義則さん(当時19歳)が最終ランナーに選ばれた。日付の法則から、今回の東京大会で震災当日の2011年3月11日に被災地で生まれた、今年10小学5年生の子供が選ばれる可能性もある。 

1964年東京大会開会式で聖火台に火を灯した坂井義則さん(写真:AFP/アフロ)

1992年のアルベールビル冬季五輪では、仏サッカー界のレジェンド、ミシェル・プラティニと地元出身の9歳の少年が最終ランナーを務めており、子供が選ばれた実績も過去にはある。

さらに聖火台は今回、国立競技場内と臨海地域の2カ所に設置される。2回の聖火点火式のセレモニーが行われるはずだ。リオ大会でも屋外に2つ目の聖火台があり、開会式の後、14歳のファベーラ(貧民街)出身の若者が、聖火台に点火した。

しかし、コロナ禍で当初の予定プランが大幅に変更されている可能性は高いだろう。安倍晋三前首相も菅義偉首相も「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」としての大会開催への決意を示したが、開会式では日本から、コロナ禍に苦しむ全世界へのメッセージが打ち出されることも期待されている。

こうした状況から、開会式当日の聖火ランナーの有力候補として浮かび上がってくるのは、次のメンバーだ。
#2に続く

ジャーナリスト、大和大学社会学部教授

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