木下富美子都議らの「有料ネット広告」こうすれば違法じゃなかったのに

謎ルールだらけの公選法の見直しは?
2021年07月15日 17:00
SAKISIRU編集長

お騒がせ続きの木下富美子都議(板橋区選出)だが、今度は新たに公選法で禁止している選挙期間中の候補者個人による有料ネット広告規制に違反していたことが、共産党機関紙「赤旗」が14日に報じて発覚した。同じ日には都民ファーストの会で政調会長代理を務める伊藤悠都議(目黒区選出)も、同規制に違反していることも判明した。

木下氏、伊藤氏が選挙中に配信していた有料ネット広告(Facebookより)

2013年の公選法改正により、ネットで候補者が自身への投票を呼びかける選挙活動が解禁された。しかし候補者個人がSNSなどに広告を出稿することは、普段の政治活動の際には法的な制限はないものの、告示から投票日までの選挙活動期間中については禁止されている(同法第142条の6)。ネット広告も全面解禁すると、お金のある候補者が有利になることが予期されるため、そうしたルールが作られた。違反した者は「2年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する」とされ、選挙権及び被選挙権が停止される。

そして今回の都議選。木下氏も伊藤氏も告示日から投票前日までの選挙運動期間中にFacebookに記事広告を出稿していた。Facebookは近年のアメリカ大統領選で不正な利用をされたことから、政治広告を出す側の名前を広告投稿の中に明記する仕様になっているが、キャプチャーからは木下氏が「スポンサー広告 PR Fumiko Kinoshita」、伊藤氏が「広告・Paid by 伊藤悠」と記載されており、候補者個人として出稿していたことが確認できる。木下氏はメディアの取材に応じていないが、伊藤氏は共同通信の取材に有料広告を出したことを認めている。

実は「抜け道」も…公選法の複雑怪奇

他方、選挙中にSNSでネット広告を見かけたこともある人も多いはずで、今回のニュースに「何が悪いのか」と疑問に感じた人もいるのではないだろうか。実は、選挙期間中の有料ネット広告規制には「抜け道」がある。候補者個人の広告はNGだが、先述した公選法第142条の6には、「政党その他の政治団体」が選挙運動用のサイト等にリンクする有料広告を掲載することは可能だ。つまりもし木下氏や伊藤氏が選挙時に自ら支部長を務める都民ファーストの会の支部の名義で特設サイトを開設したり、広告を出していれば問題はなかった。ただし、この「抜け道」を使う場合でも候補者の氏名や、候補者を想起させる類推事項(顔写真など)が掲載されていると規制に抵触する。

そうなるとアクセスしてきた有権者が、候補者本人だとダイレクトに想起させられず宣伝効果が薄くなる。そこで、(筆者もかつて選挙現場で経験しているが)、クリックした先に政党名義で作ったページを開設し、それを挟む形で「さらに詳しくはこちらで」などと候補者個人のページに誘導することは合法扱いになる。

木下氏も伊藤氏も本人たちもしくは周辺の選挙スタッフは、そうした手間のかかる状況をすっ飛ばすつもりで「確信犯」でやった可能性もあるが、意外にそうした法規やテクニックを知らずに「過失」で発信した場合もありうる。真相はまだわからないが、いずれにせよ、“明暗”を分けた背景に複雑怪奇な公選法の問題が構造的にある。買収のような問題や、確信犯による違反は明らかに取り締まるべき対象だが、木下選対がここまでビラ配りや選挙事務所の看板についても違反の疑いが出ていることについては、一般の有権者から見ても、どこまでがOKで、どこまでがNGか「謎ルール」も多く、理解を得にくいのも確かだ。

公選法の「有職故実」化が進むことが開かれた政治参画や民意の反映にかなっているものなのか。改めて社会的に検証・議論し、改善すべき段階ではないだろうか。

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