いじめ問題で小山田圭吾氏辞任へ:専門家「あの謝罪は『命乞い』と同じ」
「加害者の99%は反省しない」いじめ対応の現実- 小山田圭吾氏の炎上騒動、探偵としていじめ問題を担当した阿部泰尚氏に聞く
- 加害者の99%は反省せず、自分が窮地に追い込まれた時だけ謝罪する傾向
- 表面的な謝罪で“時間切れ”に持ち込むのは、いじめ加害者の常套手段
ミュージシャンの小山田圭吾氏が東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式の音楽担当することが発表された後、過去の「いじめ」告白が蒸し返されて大炎上した。小山田氏は19日夜、「コーネリアス」のツイッターで楽曲担当を辞任する意向を組織委に伝えたことを明らかにした。
小山田氏は音楽雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』(94年1月号)やサブカル誌『クイック・ジャパン』(95年8月号)などで、学生時代の凄惨ないじめ加害を自慢していた。今回の騒動について、探偵の立場でいじめ問題の解決に300件以上取り組んできた“いじめ探偵”の阿部泰尚氏(NPO法人ユース・ガーディアン代表理事)に話を聞いた。

過去にも炎上。謝罪は自己保身?
小山田氏は自身が加担したいじめの内容について、「全裸にしてグルグルにひもを巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。喰わした上にバックドロップしたりさ」などと誌面上で説明。障害のあった同級生に対し、全裸にして廊下を歩かせる、跳び箱のなかに閉じ込めるなどの虐待を行ったが、「僕っていじめてる方なのかなあ?自分じゃ分かんないっていうか。全然こう悪びれずに話しちゃったりするもんね」などと語っていた。
阿部氏は、小山田氏について五輪制作メンバーとして適任ではないとした上で、次のように語った。
「障害のある同級生から届いた年賀状について、小山田氏は「スゲェ汚い字で(笑)」とコメントしていましたよね。残酷な人間性が垣間見えるようでした。小山田氏のいじめは2005年頃にもネットで炎上しています。謝罪の気持ちがあったなら、その時点で謝ることもできたはず。今回、問題が大きくなってからツイッターで謝罪したのは、自己保身のためと見ざるを得ません。」
小山田氏はツイッターで謝罪したが、謝罪文については、こう見ている。
「言葉が軽い感じがします。被害者に対して本当に謝罪したい気持ちがあるのなら、同級生本人を探して連絡を取る方法はいくらでもあります。それをしないで世の中に向けて謝罪しているように見せたのは、独りよがりのように見えます。」
阿部氏は学校現場でいじめ加害者を数多く見てきたが、加害者が改心して心から謝ることは、まずないという。
「学校を退学させられるとか、部活動が停止になるとか、自分の立場が崩れるような大きなインパクトが起きない限り、加害者の99%はそもそも謝罪なんてしません。自分の立場が崩れそうになると、加害者は初めて必死で謝るのですが、そこで中途半端に許してしまうと、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、もっとひどい加害をするようになります。」
自己保身のためにどうするのが最適か、計算して謝罪しているだけなのだ。
「大声で喚いたり、泣いたり土下座したり、いじめ加害者は教師の前では必死になって謝罪するのですが、とりあえずその場をしのげれば、放課後はケロッとして友達と笑ってしゃべっていることがよくあります。本当に心を入れ替えるケースは、ゼロではないのでしょうが、ほとんど見たことがありません。」

絶対に情をかけるな
自分が痛い目を見ない限り、罪の重さを理解できないのかもしれない。
「映画やアニメのなかで、悪役が鉄砲を向けられて命乞いするシーンってありますよね。実は後ろ手にナイフ持っていたりするという。あれと同じです。本当はとどめを刺したほうが、相手のためにもなると思うんです。大きなインパクトを受けることで、初めて自分の犯した罪の重さを理解できる可能性が生まれるわけですから。」
だからこそ、正当なペナルティを課すことが重要だという。全力の謝罪で心が揺れそうになる被害者には、こう助言している。
「加害者が謝罪してきた時に、『絶対に情をかけるな』と釘を刺しています。こういう人はまず反省しないので、何度もお灸を据えられて本当にダメなんだと身をもって体験させて、少しずつ考え方を更生させるしかないのです。精神的な治療が必要な場合もあります。」
いじめ加害者の謝罪を額面通りに受け取るのは、危険かもしれない。
「加害者が謝罪すると、教師の間でも『あんなに謝っているんだから許してあげれば』と言い出す人が出てきます。許さないほうが悪だ、と言わんばかりに。そうすると判断が先延ばしになって時間稼ぎができ、場合によっては卒業シーズンに入ってしまう。そうなったら、もう卒業させて終わりにしちゃおうとなるんです。」
有名になった後に叩かれる
小山田氏もこのまま逃げ切りそうな流れだったが、それでも、世論が大きく反応したことには意義があったという。
「今回の小山田氏の件を、いじめの加害者たちに是非見て欲しいと思います。学生時代にバカみたいないじめをしていたら、将来頑張って有名になったときに、絶対に叩かれるということが明らかになった。小山田氏が仮にこのまま五輪の仕事を続けたとしても、『問題のある人間が五輪の音楽を担当した』という記憶は、世界に残るわけです。」
40年近く前の出来事であっても、謝罪をする意義はある。
「過去にも謝れるタイミングはあったはずなのに、してこなかった。今から謝ってもどうにもならないとはいえ、被害者に対して謝罪をするかどうかは、あとは本人の人間性の問題でしょう。ちゃんと生きていきたいなら、謝り続けたほうが良いと思いますが。」
大会組織委員会は小山田氏を留任させると強調し、こう語った。
「ご本人が発言について後悔して反省しておられると、おわび文を掲出した。我々は現在は高い倫理観を持って創作活動するクリエーターと考えている。」
阿部氏の指摘した通り、謝罪によって周囲がトーンダウンし、危うく“時間切れ”に持ち込まれるところだった。小山田氏は自身のツイッターでも、辞任の申し出をしたと表明。過去の行為について本当に反省していると良いのだが…。
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