イーロン・マスクが仮想通貨の保有銘柄を明らかに…市場がまた反応

中止したテスラのビットコイン決済も再検討
ジャーナリスト
  • イーロン・マスク氏が21日、保有する3つの仮想通貨銘柄を明らかにして話題に
  • そのうちイーサリアムは12%の価格上昇。仮想通貨市場をまた翻弄も長期保有の意向
  • 中止したテスラのビットコイン決済計画も、環境負荷軽減の条件付きで再検討へ

電気自動車大手のテスラとスペースX社のCEO、イーロン・マスク氏が21日、仮想通貨イノベーション評議会のイベント「The B word」で、自身が保有する暗号通貨について明かした。その後、マスク氏の保有する保有銘柄の全てが上昇した。 

イーロン・マスク氏(Automobile Italia/flickr:CC BY 2.0)

マスク氏が保有しているのは、ビットコインとイーサリアム、そしてドッジコインの3種類。発言後、ビットコインは約8%上昇。特に、今回初めてマスク氏が保有していることを明らかにしたイーサリアムは、約12%も上昇した。

マスク氏によると、保有する3つの銘柄の中ではビットコインが圧倒的に多いという。ビットコインは個人所有だけでなく、テスラ社とスペースX社の法人としても保有している。「テスラとスペースXが保有しているのはビットコインだけで、売却はしていない」としている。

発言で市場翻弄も長期保有の意向

今年は、イーロン・マスクの発言にビットコイン価格が翻弄されることが多かった。「一人の男の発言で価格が10%も上下するなんて投資対象といえない」などと批判もされ、今現在は価格が低下傾向にある。

「イーロン・マスクが価格操縦(PUMP&DUMP)しているのでは?」など多くの批判もあった。ハッカー集団「アノニマス」は動画で「数か月間ビットコインを所有することで、車を何台も売るより儲けた」などといって批判している。

マスク氏はこれらの疑惑を否定。「ビットコインの価格が下がると、私もお金を失う。私はPUMP(値上がりにつながる発言)はしてもDUMP(売却)はしない。私は価格を押し上げて売るのはいいことだとは思わない。ビットコインが成功することを望んでいる」とビットコインの将来の可能性を信じ、長期保有を前提としていると語った。同氏の一挙手一投足で世界中の人が大騒ぎし、価格も乱高下するが、当の本人の投資スタンスについては特に大きな変化はないようだ。

ozgurdonmaz/iStock

また、柴犬をミームとしたドージコインを保有する理由については「犬とミームが好きだから、ギャグで作られたコインが覇権をとったら面白いでしょう?」と単純に趣味感覚で保有していることも明かした。

テスラでのビットコイン決済を再検討

マスク氏は、ビットコインのテスラの決済への採用をふたたび再検討していることも明かした。テスラのビットコイン決済導入については、今年3月24日に発表したあと、5月12日、中止を発表していた。理由はビットコインの環境負荷だ。ビットコイン生成には多くの化石エネルギーが使われているからだ。

「ビットコインはPOW(プルーフオブワーク。エネルギー効率が良くない)を採用しているので、必ずしも環境に良くない面があるけれど、最終的には支持している」「いまビットコインで使われているエネルギーの半分以上は再生可能エネルギーに向かっていると思う。中国の規制で石炭火力発電を使ったマイニングが激減した。近いうちにテスラはビットコインでの支払いを再開することになる」などと発言。慎重に調査を重ねた上で水力、地熱、原子力などの再生可能性エネルギーの比率が50%以上になることが確認できれば、ビットコインを決済に使う計画を語った。

「エネルギーは雪のように純粋なものであるべきとまではいえないが、かといって、地球を最も汚す石炭をテスラが支持するわけにもいかない。長期的に再生可能エネルギーの中で使われるのは、実際のところ最も安いものになるだろう。ただ、それは一夜にして実現するわけではない」

マスク氏は、車のあり方も、エネルギーのあり方も、貨幣のあり方も変えていくかもしれないーー。

 

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