オリンピック開催は日本株復活の号砲となる

誰も語らない大胆仮説がこれだ
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役
  • 日本は経験のない経済や金融危機に直面し、オリンピックが足かせに。
  • しかし、リスクは「危機」でなく「不確実性」。解消されれば株価は適性の位置に?
  • 過去の例を見てもオリンピックは経済にプラスの効果。逆境を成長の原動力に

いよいよ、東京オリンピックが開催されました。諸問題はいまだ解決されていませんし、選手たちのコロナ感染も大きな課題として連日、マスメディアで取り上げられています。1年間の延期の末の開催です。準備不足ということはなかったでしょう。それでも、目に見えないコロナという最大の敵が相手では、医療関係者やスタッフの方々が、それこそ文字通り寝る暇を惜しんで時間をかけても、講じる策には限界があったというほかはありません。

さて、このように世界の経済や金融は、コロナによって大きなリスクを抱えたままです。なかでも日本は、過去に経験したことがないほどの経済や金融危機に瀕しています。その足かせになっていたのが、オリンピックであり、今そのリミッターが外れようとしているのではないかというのが私の持論です。そこで、今回は日本の株価の現状と、今後どのような動きが予測されるのかを述べていきたいと思います。

日本株のいまの低迷は当たり前

パンデミックという、人類がいまだかつて経験したことのないリスクの中で、世界規模のオリンピックのホスト国になる。いま、日本が置かれている過酷な現状です。正直、これほどまでに不確実性の高い要素は、世界中どこを探しても、そうそう見つかるものではないでしょう。

ちなみに、リスクというのは、良く誤解されがちですが「危機」のことではありません。リスクとは、将来における不確実性のことをさします。そう考えると、今の日本は不確実性の塊のようなものです。誰が見ても、リスクという荒波にのまれているように映るでしょう。

その証拠に、日本株の動きもさえません。下記は、直近の世界の金融相場の成績をあらわしたものです(日本経済新聞より)。これだけ見ても、日本だけが大きく売り越され、見放されていることがわかります。

つい先日も、米国を代表するダウの株価は今年最高値を更新しました。それだけではありません、欧州各国や南米の株価も、ここにきて顕著な回復を見せています。

世界の金融そのものは、米国の金融を担うFRBによる過度な金融緩和によって、大きな回復を遂げています。驚いたことに、米国のコロナによる不景気(リセッション)は、たった2、3カ月しかなかったとのレポートがあるほどです。1000万人規模の失業者にあふれ、多くの飲食店が閉店に追い込まれたのに、です。これは驚くべきニュース(※)でしょう。

※参照:ロイター(7/20)コロナ不況、20年3─4月の2カ月のみ 過去最短=全米経済研究所

そうしたなかで、一向に株価の回復が見られないのが日本です。ワクチン接種が早めに進んだ国と、日本のようにいまだワクチンが足りない国との間では、経済の回復に大きな差が出はじめるのは当然です。

いっぽうで、それほど悲観的になる必要もないかもしれません。

日本株はここから株価を正常値に戻す?

ここからは私の個人的に持論なのですが、日本経済の場合は、冒頭でお伝えした通りオリンピックがその不確実性を極端に歪めた可能性もあります。東京では、オリンピック開催を目前にして新規感染者数が急増しました。開催2週間前には、4回目の緊急事態宣言が発令される事態になっています。

足もとでは関係者の間でも新規感染が広がっています。それがオリンピック開催国というアンテナを通じて、世界中にも発信され続けています。さらに、オリンピック開催が感染拡大のリスクになることも懸念されている状態です。

しかし、先述した通りリスクとは危機ではなく、あくまで「不確実性」です。もし、過去、経験のない非常事態での開催国という不確実性によって、株価が極端に歪められているとしたらどうでしょう。不確実性が少しずつ解消されていくにつれて、株価は適性の位置に押し上げられる可能性もあります。

実際、日本は世界の中でも、かなり低い位置にあることは確かです。そう考えると、今後、むしろ世界の中で大きな伸びを見せる期間があるのではないか、というのが私の個人的な仮説となります。

monzenmachi/iStock

五輪開催での経済効果は間違いなくある

さらに、忘れてならないのがオリンピックによる経済効果でしょう。そこで最後に、今回の東京オリンピックは、経済や株価を押し上げる原動力になりえるのか。この点も検証していきたいと思います。

この点について、結論から申し上げると、私の考えは「イエス」です。
繰り返しになりますが、日本市場の不安定な状態を慢性的にしているのが、世界で前例のない無観客オリンピックという足かせです。本来であれば、開催日が近づくにつれて注目を浴びて、経済や株価を後押しするオリンピック。しかし、今はまだ五輪開催によるダメージなどのネガティブな不確実要素しか注目を集めておりません。

いっぽうで、オリンピック開催が決まったと同時にはじまった会場・宿泊施設の建設や、道路・交通網の整備など、すでに大規模なインフラ工事にマネーは消化されています。

実際、過去のデータを見ても、オリンピックは経済にプラスの効果をもたらしています。下記は、1996年のアトランタ五輪から2016年のリオデジャネイロ五輪までの6大会において、開催国と株式市場の推移です。これだけ見ると、2000年のシドニーオリンピックと、サブプライムショックがあった2008年の北京オリンピックをのぞいて、開催国の株価が上昇していることがわかります。開催国として、他に類を見ない状況を強いられている日本。この逆境こそ、成長の原動力にしてもらいたいものです。

 
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役

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