中国・鄭州の歴史的豪雨水害、現地在住者「首まで水が迫ってきた」

「本当」の犠牲者数は?
ライター
  • 中国河南省・鄭州市の歴史的な豪雨災害で、鄭州では少なくとも58人が死亡
  • 現地在住者の男性に電話取材。友人が「地下鉄に閉じ込められ、首近くまで浸水」
  • 居合わせた人の宿に泊まるなど中国らしい助け合いも。被害規模の過小報告懸念

中国中部・河南省鄭州市で発生した歴史的な豪雨水害で、地元政府は24日、これまでに58人が死亡、5人が行方不明と発表した。被害が拡大したのは20日夕方からの豪雨で、1時間で201.9ミリを記録。午後6時ごろには地下鉄構内に浸水した。鄭州市内に住む30代男性の張さん(仮名)に、電話で話を聞いた。

提供動画より

19日は、仕事を終えて地下鉄で帰宅することはできたという。

「19時すぎぐらいから特に雨が強くなって、窓の外が見えないぐらいでした。もともと、19時過ぎの列車で隣町の開封市の実家に行く予定だったので、列車で開封駅まで行きました。ただ、到着するとバスもタクシーもなく、交通機関がストップしていて、駅の待合室で待つしかありませんでした」

外は雨が激しく、駅で雨宿りをするしかなかった。

「椅子は埋まっていて、床はびしょ濡れ。シートやスーツケースの上に座っている人もいましたが、私はリュックの上に座っていました。携帯の充電切れが心配でしたが、幸い、レンタル充電器を借りることができました」

提供動画より

そのまま午前3時ごろまで座っていたが、座り疲れてきた。たまたま近くに座っていた同年代の男性と雑談して仲良くなると、男性が予約した近くのホテルに来ても良いと言われ、雨足が弱まったタイミングでホテルに向かった。中国人は、心を許した相手には情が厚い傾向があるが、災害という非常時で助け合いの気持ちが起きやすかったのかもしれない。

地下鉄の天井を破壊して救助

「翌朝、雨はほぼ止んでいたので鄭州に戻ろうと思ったのですが、列車はなく、その場にいた人たちと3人で一緒にタクシーに乗りました。1人100元(約1700円)。でも、鄭州市の手前で道路が通行止めになっていた。タクシーを降りてコンビニで何か買おうと思ったんですが、ヨーグルトとかスナック菓子ぐらいしか商品がない。鄭州市内に近づくと携帯の電波も弱くなっていました」

キャッシュレスに慣れ切っていて現金を持ち歩いていなかったため、電波が入らないと非常に困ったという。結局、隣町の実家に住む姉に車で迎えに来てもらい、今は実家に身を寄せているという。

「鄭州にいた友人は、地下鉄に3時間ほど閉じ込められて、首まで水が迫ってきたと言っていました。子供やお年寄りは椅子の上に立たせて、特にパニックになることもなく、救助を待ったそうです。列車の天井を破壊して、救助されました」

提供動画より

水が引いたあとに救助された現場に戻ってみると、プラットフォームの上に遺体があり、救命活動が続いていたという。さらに張さんの友人が21日に撮影したという動画を見ると、大量の自動車が水没しているのがわかった。

提供動画より

中国ではコロナ感染者数をはじめ、災害時に犠牲者の人数を過少に発表する傾向が見受けられる。今回も現地の写真や動画を見る限り、死者数は数百人〜数千人規模でもおかしくないように思える。街に平穏が訪れることを祈るばかりである。

 
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