テスラ最高益、四半期売上高は初の1兆円超え…藤巻氏「日本人に足りない危機感」

追撃するライバルも上場、米国の活況
  • テスラが四半期での売上高、純利益ともに過去最高を計上
  • 藤巻氏「テスラの方がトヨタの時価総額より高いことを日本人は認識すべき」
  • テスラを追撃する新興メーカーも上場。活況ある米国と日本の落差

テスラ・モーターズが26日に発表した2021年4~6月期決算は、売上高が119億5800万ドル(約1兆3200億円)と前年同期比の2倍に達し、純利益も11倍の11億4200万ドル(約1254億円)にまで伸ばした。四半期での売上高、純利益はともに過去最高となった。ただし、仮想通貨ユーザーの関心が高いビッドコイン保有については約2300万ドル分の減損だった。

jetcityimage /iStock

創業者でCEOのイーロン・マスク氏は今月に入ってからだけでも、自身の保有する仮想通貨を明らかにしたり、プレハブの“狭小住宅”に引っ越したことが報じられたりと、「イノベーター」としての話題を全世界に提供しているが、本業のテスラは長期化するコロナ禍や世界的な半導体不足をものともせず、中国市場の拡大を柱に業績を大幅に伸ばした格好だ。

テスラの通年の売上規模は約3兆円規模で、30兆円近いトヨタ自動車にはまだ及ばないが、経済評論家の藤巻健史氏は日経新聞の速報記事にツイッターで言及し、「売り上げがトヨタの10分の1のテスラの方がトヨタの時価総額より高いことを日本人は認識すべきだ」と指摘した。テスラの時価総額は約6200億ドル、トヨタ自動車は32兆円だからドル換算でおよそ半分になる。

藤巻氏はさらに続けて「自動車のIT 化を手掛けるトヨタと、(金融、町、家とともに)車をもIT化しようという発想のIT産業では勝負にならないだろう。1989年に時価総額で世界トップはNTT(1638億ドル)、2位は日本興業銀行(715億ドル)。上位10社のうち7社が日本企業だった。その凋落はすさまじい」と嘆き、「今年6月現在では10位どころか50位に、やっとトヨタが36位(3178億ドル)で入っているに過ぎない。1位はアップル(22855億ドル)、2位はマイクロソフト(20403送ドル)、4位はアマゾン・ドットコム(17359送ドル)だ。財政問題といい、日本人に足りないのは危機感」と訴えていた。

テスラの決算発表があったこの日は、テスラを追撃するEVメーカー、ルーシッド・モーターズはSPAC(特別買収目的会社)を活用して米国内で上場。およそ430億ドルの時価総額になった。現在はテスラにまだ及ばないものの、日産自動車の倍の価値はつけていることになる。藤巻氏はツイッターで「大きな政府や老人が主導する年功序列経済ではGAFAなどは決して生まれない。若者が自由な発想で、政府の出しゃばりのない社会で成功すれば大金持ちとの夢を持って働く競争社会が必要」とも述べていた。テスラの最高益が明らかになった26日は、次から次に新手のプレイヤーが出て経済にダイナミズムをもたらすアメリカと、失われた30年の後遺症を引きずる我が国との落差を改めて印象付ける日となった。

 

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