「鬼ヤバい」メダルラッシュ新競技は日本のお家芸になるか?

スケートボートで金、サーフィンで銀
2021年07月31日 06:01
ジャーナリスト、大和大学社会学部教授
  • 五輪前半戦で新競技のスケートボート、サーフィンで日本がメダルラッシュ
  • 新競技は狭い都市部でもできる「アーバンスポーツ」。次回パリ大会も継続
  • かつて柔道やバレーボールが日本スポーツ界を支えたようにお家芸になるか

東京オリンピックは折り返しに差し掛かった。ここまでを振り返ると、正式競技して採用された「アーバンスポーツ」のスケートボート、サーフィンで日本勢が金2個、銀1個、銅1個とメダルラッシュが続いていることが目を引く。

同じく新競技のスポーツクライミングは後半戦の8月5日に男子複合、6日に女子複合の決勝が行われ、それぞれ優勝候補の楢崎智亜選手、野口啓代選手が控えている。1964年東京五輪では柔道、バレーボールが正式競技として加わった。以降の大会では、金・銀・銅のメダルを量産し、国内での競技人口を増やしてきた経緯があるだけに、2020大会の新競技の選手たちが世界のトップレベルを維持し、今後、日本の「お家芸」になる可能性もある。

注目を集めた新競技サーフィン(※画像はイメージです。shannonstent/iStock)

スケートボート(ストリート、パークの2種目)、サーフィン、スポーツクライミングの3競技は近年の若者の五輪離れに危機感を抱いた国際オリンピック委員会(IOC)の思惑が反映され、2020大会から正式競技として採用された。街中の狭いスペースで練習や試合を行うことができる「アーバンスポーツ」(都市型スポーツ)については、この3競技のほかにも今大会で、3人制バスケットボール「3×3」や自転車BMXフリースタイル・パークの新種目も加わっている。

日本では人気だが今大会で落選してしまう空手、野球・ソフトボールとは対照的に、こうしたアーバンスポーツは2024年パリ大会でも継続されることが決まっている。スケートボート・ストリートでは、多くの選手がタトゥーを入れて、普段はスマホの音楽を聴きながら、階段や手すりでトリックを披露する。インスタグラムで100万人近いフォロワーがいる堀米雄斗選手は東京・江東区生まれの18歳。地元への凱旋オリンピックで初代王者に輝いた。

女子で優勝した西矢椛(もみじ)選手も大阪・松原中出身の13歳だ。いずれもまだまだ伸びしろがあって、3年後に迫る2024年パリ大会での連覇も期待されている。米国に活動拠点を移している堀米選手は会見で、「公園とかでもスケボーができるようになったらいいな」と語り、さっそく、スケボー禁止の場所が多い日本のプレー環境改善への希望も示している。

史上最年少「金」となった西矢選手(写真:ロイター/アフロ)

サーフィンで銀メダルの男子、五十嵐カノア選手(23)、銅メダルの女子、都筑有夢路(あむろ、20)選手に限って言えば、パリは、東京でなし得なかった世界一という忘れ物を取りに行く大会となる。

「今回の五輪は一生忘れないイベント。次のパリ五輪も早くやりたい」と意気込む五十嵐選手。五輪の影響力の凄さを感じ取った都築選手は「これからはサッカーや野球のように、扱ってほしいし、注目してほしい」と語った。

1964年の東京大会は、金メダルを獲得したバレーボール女子チームが「東洋の魔女」として語り継がれ、日本スポーツ界の金字塔を打ち立てた。同じく新競技の柔道は1964年大会が各国で競技人口が爆発的に広がるきっかけになる、2020大会でも競技会場となった日本武道館は柔道の聖地として、世界の“JUDOKA”(柔道家)が目指す場所となった。

柔道もバレーボールもその後の大会でメダルを獲得しており、日本のスポーツ界を支える競技となっている。IOCのトーマス・バッハ会長は「五輪はより若者的になる」と話しており、2回目の東京大会で始まったアーバンスポーツは今後、日本のお家芸になる可能性も十分にある。

1964年には、東洋の魔女を育て上げた大松博文監督が話した名文句「俺についてこい」が一世を風靡した。となれば、スケートボート・ストリートを生中継したNHKEテレで、解説したプロスケートボーダーの瀬尻稜さんの「鬼ヤバい」を2020年に残る名文句として推奨したい。

今年の新語・流行語大賞を決める選考委員のみなさま、いかがですか?

 

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ジャーナリスト、大和大学社会学部教授

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