「上田新党」は共同通信のスクープではなかった
“小池派”の元自民議員「今ではない」- 上田清司参議院議員の「保守中道」新党構想を共同通信が1日夜にスクープ
- 新党構想は、FACTAの7月発売号の小池新党を占う記事の中で既報だった話
- 小池シンパの元自民議員は新党構想に「今ではない」。盛り上がりに欠ける
前埼玉県知事で、無所属の上田清司参議院議員(埼玉選挙区)が新党結成を模索していると、共同通信が1日夜に配信した。記事配信から数時間経っても、オリンピック真っ最中のツイッター空間では、トレンド入りすることも叶わず、記事中にも「衆参の無所属議員を中心に参加の呼び掛けを始めたもようだが、反応は目立たず」と冷ややかな書かれ方をしたこともあって、世間の注目を集めるかは微妙な様相だ。
実は上田氏の新党構想は永田町では以前から噂があったが、メディアで報じられるのも初めてではない。「記者クラブ加盟社の中では」という但し書きがつけば、もちろん、共同通信が初めてであるのは確かだが、中堅以上のメディアでいち早く書いたのはFACTAの先月発売の8月号だった。
ただ、埼玉で4期知事を務めた割に全国での知名度がいま一つという地味な存在の上田氏による新党構想とあって、どこか「添え物」の扱いは否めない。「スクープ!蠢く小池「知事新党」マグマ」という表題の、文字通り小池新党構想の動きを占う記事の終盤でやっと紹介されていたのだ。
FACTAは、小池氏の国政復帰の受け皿として「すでに都議選前から、現参院議員の上田清司前埼玉県知事(衆院議員3期・知事4期・73歳)が8月にも新党を立ち上げる準備を始めていたことはあまり知られていない」と指摘。小池氏のほか、全国知事会長でもある飯泉嘉門徳島県知事、元神奈川県知事で、横浜市長選に出馬予定の松沢成文参議院議員、大村秀章愛知県知事らが合流する「知事新党」のシナリオをぶち上げている。この日の共同記事の終盤にも「現職議員のほか、新人として自治体の首長経験者らの参加を期待している」との記述があることから、FACTAの取材する新党構想とのオーバーラップする側面はある。
ただ、FACTAの書き手の小池氏への肩入れはいささか夢物語気味だ。記事の締めでは、「先走るようだが」との断りを入れながらも、「非自公連立政権ができるとしたら、小池を首相に担ぐ展開になった時だろう」とまでぶちあげる。しかし、埼玉選出の自民党衆議院議員だった早川忠孝氏はブログで早速反応したものの、「私は、いずれそうなる(注・新党結成)だろうとは思っているが、今ではない。時期を良く見極めること。そして、誰が新党設立の呼び掛けをするか、ということが大事になる」と、拙速を諌めている。早川氏は小池氏が都知事選に挑戦してから一貫して小池派のポジション論者だが、その早川氏がブレーキをかけているあたり、今の永田町の温度感がうかがえる。
いずれにせよ、横浜市長選の告示1週間前の夜、デルタ株の感染拡大とオリンピックの渦中にふってわいたように出てきた「観測記事」は、あまり話題になっていないようだが、国民の間で広がる既成政党への不信や不満を燻らせる真夏の夜の夢が表出しただけなのか、それとも今後、小池氏の国政復帰のシナリオと連動してくるのか…。秋の政局を占う材料の一つにはなりそうだ。
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