「都内約100病院が拒否」TBS報道に都政関係者から疑問噴出

川松都議「酸素ボンベの出動形跡ない」

TBSが2日朝、「都内約100病院が拒否 コロナ救急患者搬送に8時間」と題した“スクープ”報道が思わぬ形で波紋を呼んでいる。

当初の報道は、都内で先週、コロナに感染して呼吸困難となった50代の男性の自宅に救急隊が駆けつけ、搬送先を探したものの、「およそ100の医療施設が態勢の不備などを理由に受け入れを断った」(記事より)という内容だった。

TBS NEWS(8/2)より

デルタ株の感染拡大から医療崩壊への懸念が強まる中とあって、100件の受け入れ拒否はセンセーショナルな数字だ。ネット上でも強い関心を集め、ツイッターでは記事が一時トレンド入り。配信先のヤフーニュースでは6時間余りでコメント数が6000近くに上り、コメントランキングで一時1位になった。

さらに夕方になり、共産党の志位和夫委員長がツイッターで言及。記事を引用しながら「すでに深刻な「医療崩壊」の瀬戸際にある。 これで「国民の命と安全が守れる」状態と言えるか。」などと政権批判の材料に使った。

しかし、都政関係者によると、TBSの報道について疑問が噴出しているようだ。都議会自民党の川松真一朗氏は重くみて都の福祉保険局など当該部署に事実関係を照会。川松氏によると、東京消防庁も、福祉保健局もすぐには当該事案を見つけられなかったようで、TBS側から消防庁に取材がなかったとの情報もある。

川松氏は疑問を抱いた理由の一つに都で定める「新型コロナ疑い救急患者の東京ルール」を挙げる。これによると、5つの医療機関または20分以上搬送先が決まらないケースは「新型コロナ疑い救急医療機関」または「新型コロナ疑い地域救急医療センター」に搬送されることになっている。この運用方針に基けば、100の病院から受け入れ拒否の事実は考えにくい。

東京都「新型コロナ疑い救急患者の東京ルール」より

さらに川松氏は、男性が8時間も待機を余儀なくされたことからツイッターで「酸素ボンベの応援もあるはずで、その出動形跡もない」と疑問点を指摘する。さらに18時過ぎになり、当該事案の可能性があるケースを東京消防庁が把握したこともツイートした。当該患者の持病の性質による「特殊事案」(川松氏)だった可能性も出ている模様だ。

いずれにせよ、実態がどうなのか、東京都の説明も待たれるところだが、TBSの報道も影響力があるだけに疑義が生じたことについて検証が求められそうだ。

(本件続報があり次第、追記予定)

 

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