広島の平和祈念式典を妨害するデモ団体の“騒音”:静謐は取り戻せるか

黙とう中もお構いなしに「アベたおせ〜」
2021年08月06日 05:00
広島市議会議員/元読売新聞記者
  • 広島市の8/6平和記念式典が毎年、デモ団体の“騒音”で妨害され続けてきた
  • 平和宣言や黙とう中もお構いなしに、拡声器で「アベ(安倍前首相)たおせ」
  • デモ団体は市と約束した音量制限守らず。平和推進条例後、初の式典だが…

被爆地・広島市は8月6日、76回目の「原爆の日」を迎えました。

新型コロナウイルス感染症により、世界各国で多くの方々がお亡くなりになりました。そして、今なお、各地で混乱は続いています。このような状況において、世界恒久平和の実現を願い、原爆犠牲者を追悼するための1日を迎えられたことに感謝しています。

一方で、8月6日に関する、数年間の懸念が払しょくできていないことに対し、原爆犠牲者をはじめ、ご遺族や関係者、そして、日本や広島の皆様に忸怩たる思いを抱いております。それは、8月6日に広島市の平和記念公園で開催される「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式典)が、左派デモ団体の“騒音”で妨害され続けていることです。

新華社が報じた2016年8月6日の記念公園前のデモ風景。当時の安倍政権打倒を掲げるなど政治色の強さがにじむ(写真:新華社/アフロ)

式典の静謐を破るデモ騒音

この左派デモ団体は中核派などで構成され、平和記念公園の対岸を南下しながら、拡声器で「アベ(安倍晋三前首相)たおせ」などと叫んできました。広島市長による平和宣言や黙とう中もお構いなしに、拡声器の声が式典会場に響き渡ります。こうした事態はほとんど報道されませんが、平和記念式典の静謐な環境は害され、原爆犠牲者を追悼するという式典の目的が損なわれているのです。

”騒音問題”に対し、広島市はこの2年間、左派デモ団体と断続的に協議しています。昨年の平和記念式典は、デモ中の音量を拡声器から10メートル離れた地点で85デシベル以下に抑えるという取り決めになっていました。ところが、数か所で85デシベルを超えていました。つまり、左派デモ団体は広島市との約束を破っておきながら、その後も、真摯とは言えない態度を取り続けました。それでも、広島市は今年も式典直前まで粘り強く交渉を求め続けていました。広島市当局が、この”騒音問題”に相当の覚悟を持っていることが私にも伝わっています。

一方、広島市議会はと言いますと、議会の機能強化の一環として、議員提案による条例の制定を目指す動きがありました。この”騒音問題”に連動したものではありませんが、2019年7月に各会派の代表者による「政策立案検討会議」が発足します。広島市は国際平和文化都市を標榜しており、第1号の条例のテーマに「平和」を設定し、同会議で条例制定への準備を進めてきました。私は2020年7月に同会議のメンバーに名を連ね、条例素案の作成などに携わらせていただきました。そして、2021年6月定例会で、「広島市平和推進基本条例」が賛成多数で可決・成立したのです。

nowlesgallery /iStock

「平和推進」条例でデモはどうするか

この条例の目的は、広島市が平和を推進するための施策を継続的に行っていく責務を負い、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に寄与することにあります(第1条)。市議会の役割として、「平和の推進に関する活動を行う」(第4条)と規定し、世界恒久平和を実現するという意思を示しています。この条例には罰則などはなく、あくまで理念を示すものですが、広島市民の代表たる広島市議会の平和への決意・思いを形にしたものです。

このように、行政と(広島市)市議会は協調し、被爆体験を軸とした平和推進に大きな一歩を踏み出そうとしています。こうした流れで迎えた2021年8月6日の式典は、果たしてどのようなことになるでしょうか。静謐な環境を取り戻し、式典が原爆犠牲者を悼み、そして、世界恒久平和を願うことができる場となるのか--。はたまた、左派デモ団体がまたもや、広島市民や世界の人々の思いを踏みにじるのか--。そのあたりを注視していただきたいと思います。

 

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広島市議会議員/元読売新聞記者

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