「オリンピック後のアスリート人生」為末さんの提言がSNSで話題に
冨山和彦氏「若くして成功したベンチャーの若者と同じ」- 五輪3大会出場の為末大さんが後輩選手にオリンピック後のメンタルケアを助言
- 緊張感から開放で思い悩む選手も。「登ることより降りることの方が難しく…」
- 適切な休養を推奨。一般人も共感、猪瀬直樹氏や冨山和彦氏ら有識者も反応
東京オリンピックという盛大なる祭典は終わった。この採点を見届けた私達も日常に戻ったが、このオリンピックのために、人生を捧げてきた選手たちも、現実に戻ることになる。
そんな今、陸上の400ハードル日本記録ホルダーで、オリンピック3大会に出場経験のある為末大さんが、新人オリンピアンたちに、オリンピックが終わった後の人生のおくり方に対してエールを送った。

「オリンピックに出たり、メダルをとっても幸せになるとは限りません。オリンピックに出る方法。勝つ方法はたくさん語られていますが、出てしまった後どのように生きていくかは、実は語られていません」(8月9日のツイート)
オリンピックに出たりメダルを取っても幸せになるとは限りません。オリンピックに出る方法、勝つ方法はたくさん語られていますが、出てしまった後どのように生きていくかは実はあまり語られていません
オリンピックを終えたアスリートの方へ|為末大 @daijapan #note https://t.co/5DmW9eHPuj
— Dai Tamesue 爲末大 (@daijapan) August 8, 2021
「オリンピックを終えたアスリートの方へ」と題した5日付のnote投稿で、為末さんは、脚光を浴びたアスリートに起こりがちな”オリンピック後あるある”に触れ、経験者しかわからないオリンピック後の苦労を綴った。オリンピックという世界が注目する“宴の後”を、どう生きるべきか、メダリストたちに今後当面しがちなメンタルの問題に触れ、いくつかの心配事が具体的に綴られている。
今後メディアにゴシップの対象者として狙われやすくなること、地元でつい酒を飲んだら”コロナ禍で宴会”などと書かれかねないこと、そして無防備な選手に近づく人の中には、いい人に見えて利用しようとする人も含まれているから、気をつけるべき…などと、経験者でなければ語れないいくつかの”ありがちな懸念”に触れている。そこには、オリンピアンとして酸いも甘いも知り尽くした為末氏の後輩たちに対する真摯な愛情が溢れている。
「登るより降りるが難しい」
為末さんが最も心配していそうなのが選手たちの「燃え尽き症候群」だ。「アスリートは極度の重圧にさらされているために一般の方よりも精神的なダメージを受けやすい状況にいます」と訴える。
一般人の我々からみると、アスリートは逞しくみえるぶんメンタルも強いと想像してしまいがちだ。為末氏によると、健康診断でわかるアスリートの体の疲労と違って、”精神の疲労”は実感しにくいため見過ごされがちなのだという。そして、このことは「アスリートのメンタリティとして、弱さを認めないところがあるので余計に無視されがち」という。
そして「疲れたなと思ったら、半年、一年以上、心を休めることをお勧めします」と提案している。というのはオリンピック後に起こりがちなこととして「グラウンドに行こうとするのだけれど、行く気が起こらない、やる気が出でこないという症状が出ます」と。さらに、「そこで休まないと事態が深刻化する」と指摘する。それができない場合は、“第二段階”に入ってしまうというのだ。「次第に身体が思うように動かない。練習しても楽しくない。一日ぼーっとする時間が増えるなどの症状が出てきます」という。為末氏もここまでは、経験済みだという。人によってはここで休まず、悪化すると「競技人生や引退後の人生まで影響を与える」事態になるという。
“日の丸”や周囲からの期待を背負い、オリンピックに長年全てを捧げてきたアスリートたち。東京オリンピック後を機に、人生の目標や、生活環境が変わる選手も多いことだろう。その緊張の糸が切れることや、環境変化の激しさは想像するだけでと、いかに選手の心理的負担っているかは想像できる。過去には自殺したオリンピアンもいるが、為末さんの次の言葉に「生きづらさ」が集約されそうだ。
オリンピックが終わっても人生は続きます。私も引退して10年ほど経ちましたが登ることより降りることの方が難しく感じます。
猪瀬氏や冨山和彦氏らも反応
「一番大切なことはみなさんがオリンピックに出て幸せになったと感じられることです」とも為末さんは指摘する。本人もセカンドキャリアに向け邁進していると、のんびりしてもいられないのかもしれない。とはいえ、選手たちにはオリンピック後はしばらく心の休養がとれるように、ゆっくり休んで欲しいものだ。
ツイッターでは
オリンピック後、引退後の人生のほうがずっと長いのでみんな上手に生きて
中田英寿が引退後、世界中を旅していたことを思い出しました。心の休息を大切に、アスリートの皆さんの第二の人生が、幸せなものになりますよう
などと為末さんに共感する人が続出していた。
一方でフェイスブックでは、著名人や有識者が相次いで反応した。オリンピック招致当時の都知事だった猪瀬直樹氏が記事をシェア。政治学者の櫻田淳氏は記事をシェアしつつ、「この記事が伝える「弊害」に対応するためにも、たんなる「スポーツ馬鹿」を養成しないという合意を日本社会全体で創っていくことが大事であると思われる」との持論も補足した。表現は辛辣なものの、アスリートの人生を長期視点で社会的に支える視点が求められるのは確かだ。
また、カネボウや日本航空などの企業再生で知られる経営コンサルタントの冨山和彦氏も「これ、若くして立ち上げたベンチャーが偶然うまく行って有名になった若者や、芸能や芸術で若いうちに成功しちゃった若者に共通する話です」と記事にコメントしていた。ビジネスパーソンにも共通する教訓もありそうだ。
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